病気について
狭心症
原因と症状
心筋を栄養する冠動脈が、動脈硬化や冠攣縮(一時的な痙攣)で、内腔が狭窄し心筋が血流不足に陥る病気です。
症状は、突然起こる前胸部全体の絞約感や重圧感で、通常5~10分以内に収まりますが、長ければ危険です。
高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙など危険因子のある方は罹患しやすく要注意です。
主な治療法
薬物治療(常に必要)、カテーテル治療、冠動脈バイパス手術があります。
バイパス手術は全身麻酔による治療ですが、通常1回で治療は完了します。
カテーテル治療は、冠動脈形成術(風船療法)といわれ、特殊な風船やステント(網状の筒)などで血管を広げる局所麻酔の治療です。再狭窄を生じ再治療を要する場合が5~20%ありますが、手術よりは負担が軽くより安全です。
冠攣縮性狭心症は、通常薬物療法のみで治療されます。
治療スケジュール
ホルター心電図、運動負荷心電図などの検査を行い、最終的に冠動脈造影で確定診断を行います。造影で狭窄の場所と程度が正確に把握でき、冠攣縮も実証できます。40分ほどの検査ですが、1~2泊の入院が必要です。
冠動脈の血行再建が必要な場合は侵襲的治療を行いますが、カテーテル治療は通常3~4日間、冠動脈バイパス手術は、通常3週間程度の入院が必要です。
心筋梗塞
原因と症状
心筋を栄養する冠動脈が、動脈硬化と血栓で内腔を完全に閉塞すると、血量途絶のため通常強烈な胸の苦悶感が長く持続します。胸の症状は軽くて、呼吸困難などの心不全症状の方が強い方もあります。
急性心筋梗塞は10%程度の入院死亡率があり、突然死もしばしばです。通常40歳以上の冠危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満)を持った人に生じやすいです。
主な治療法
早急に閉塞した血管を再疎通させることが肝要で、血栓溶解薬の静注、緊急冠動脈造影および緊急カテーテル治療などが行われます。合併症に応じて、一時的ペーシングや補助循環も行われます。緊急バイパス手術は稀です。
治療スケジュール
当初はCCU(集中治療室)で入院管理され、絶対安静の後、座位、歩行と2~3週間かけて、心臓の回復に合わせて運動量を上げていく、心臓リハビリテーションを施行します。その間、再発予防の指導、食事指導などを行います。
閉塞性動脈硬化症
原因と症状
下肢を栄養する血管が動脈硬化により狭窄・閉塞し、しびれ、冷感、間欠性跛行を自覚し始め、重症化すると安静時疼痛、指趾潰瘍・壊死を認めます。
危険因子としては、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満などの生活習慣病および喫煙習慣、虚血性心疾患の既往、尿血管障害の既往、ストレスなどがあげられます。
主な治療法
まず禁煙・危険因子の管理をし、薬物療法、運動療法を行います。改善のない場合、経皮的下肢動脈形成術やバイパス術を行います。
治療スケジュール
2泊3日(1泊2日)で入院していただき、冠動脈を含めたカテーテル検査で精査を行います。全身状態を把握したのち、治療方針を決定します。カテーテル治療になる場合、3泊4日(2泊3日)で再度入院していただき、治療を行います。
指趾潰瘍・壊死を伴う場合、皮膚科・形成外科と協力しながら治療方針を決定していきます。
徐脈性不整脈
原因と症状
全身に血液をおくる心臓の4つの部屋のうち右心房と左心房が不規則に細かく振るえ、まとまった収縮がなくなり脈が乱れる病気です。発作的にこの不整脈が生じた場合、脈が突然速くなりリズムの乱れがあるので、動悸、胸のつまる感じ、息苦しさを感じます。また心房細動では心房の中で血液がよどみ、血の固まり(血栓)ができやすくなります。
できた血栓が飛んで脳の動脈につまると脳梗塞(脳塞栓)を生じるので予防が必要です。脳梗塞の2割前後は心房細動が原因といわれています。
主な治療法
心房細動を正常の脈(洞調律)にもどすリズムコントロール
心房細動が発症して短期間であれば心房細動そのものをとめることを試みます。
抗不整脈薬の静脈注射あるいは経口薬による方法と、麻酔下による電気ショックによる方法があります。
脈拍数を正常に保つ心拍数コントロール
心房細動は持続していますが心拍数を適当な値に薬でコントロールすることにより、動悸などの自覚症状や心不全を防ぐ治療です。
脳塞栓を予防する抗凝固療法
脳塞栓などの塞栓症を予防するため、血液が固まりにくくする薬を飲んでいただいて、心房の中で血栓ができるのを予防します。出血が止まりにくくなるため、服薬量のコントロール、抜歯時の注意、外傷時の注意が必要です。