血液内科研修プログラム
当科研修の特色 | ![]() |
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認定施設 | 新血液専門医制度にのっとった日本血液学会の専門研修認定施設です。 血液専門医、内科認定医、総合内科専門医の取得が可能です。 |
一般目標 | 1.CBCの解釈、血球数異常の鑑別診断、適切な治療ができる。 2.血小板減少、出血傾向に対する適切な鑑別診断、治療方針が立てられる。 3.輸血療法の必要性、適正使用、院内での施行方法、副作用につき習熟する。 4.骨髄穿刺・生検の必要性が理解でき、上級医監視下で施行と鏡検ができる。 5.リンパ節腫脹の適切な診察と鑑別診断のための検査提出ができる。 6.血液悪性腫瘍の診断、治療方針決定、治療施行が上級医監視下でできる。 7.臓器障害を伴う患者に対し、適切な化学療法の選択し用量を設定できる。 8.中心静脈穿刺、腰椎穿刺、骨髄検査など上級医監視下で施行できる。 9.施行した検査の解釈、説明を上級医監視下で患者に適切に説明できる。 |
行動目標 サブスペシャリティ研修をふくむ |
1.重度貧血の入院での原因診断と治療。必要時他科への診察依頼。 2.血小板減少に対する、原因鑑別とステロイド治療や輸血療法などの治療。 3.出血傾向に対する鑑別診断と治療。 4.リンパ節腫脹の診察と鑑別診断。 5.骨髄不全、白血病疑いの症例、多発性骨髄腫や悪性リンパ腫の病期診断において上級医とともに骨髄穿刺を施行し検鏡や追加特殊検査で診断をつける。 6.悪性リンパ腫が疑われるとき、上級医指導下にてリンパ節生検、その他鑑別に必要な各種検査の予定をたて、必要に応じ他科にコンサルトし、確定診断をつける。 7.悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の標準的な化学療法を上級医指導下で予定を立て、オーダリングを行い、詳細に面談をし、施行する。 8.化学療法の副作用出現時や病状悪化時などにおこる自覚的他覚的変化を理解し、注意深く観察し、検査計画を立て、上級医とともに適切な薬物療法や面談を行う。 9.特に好中球減少時の適切な対応を習得する。 10.いずれの疾患においても、入院後まもなく診断がついたときや治療開始前、病状に変化があったとき、退院時は上級医とともに丁寧にご本人およびご家族に病棟スタッフ立会いで面談を行う。 11.受け持ち患者に関わる、複数の職種でのカンファレンスに参加し、意見、情報を交換しあう。 12.血液製剤の適正使用ができる。 |
研修期間 | 1~3ヶ月(2ヶ月以上を推奨) |
研修責任者 | 垣内 誠司 |
週間スケジュール | 木曜14:30~入院・外来カンファレンス、第3金曜17:00~移植ミーティング |
研修終了後の進路について | 血液内科医を志す場合、内科専門医取得後、スタッフとして継続し、日本血液学会専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医等取得を目指してもらう。 大学院への希望があれば神戸大学等への進学が可能である。 |
当院での研修を考えておられる初期研修医の皆様へ
当院で研修を希望される皆様にとって、血液内科に馴染みがある方は少ないのではないでしょうか? もっと端的に言えば、「ハードルが高い」「よくわからない」「マニアック」な診療科に思われることが多いと思います。
当科では、当科を専攻するしないにかかわらずそのイメージを払拭し、今後に役立つ実践的な研修を提供できる診療科であると自負しています。いくつか当科ならではの魅力をお伝えします。
血液検査の結果を深く解釈できるようになる
どの診療科を専攻するにあたっても避けられない血液検査ですが、時としてその解釈が難しい場合も少なくありません。血液検査を深く・正確に解釈する力は、診断の大きな武器になります。血球数減少、増多はどの診療科でも遭遇しうる問題です。血液の成り立ちや、疾患が理解できるようになれば、自信を持って鑑別診断でき、ひいては診療の質をあげることにつながります。「血液検査判読のコツ」はすべて研修早期にスライドを基に講義しています。
内科全般の総合力を鍛えることができる
抗がん剤は肝腎で代謝されこれらの臓器機能と切り離せません。抗がん剤にともなう有害事象としての電解質異常の補正や内分泌学的鑑別も日常的に行われます。また、神経障害・意識障害などの脳神経学的異常、がん性疼痛の管理、免疫抑制状態での感感染症管理などすべての診療科の知識を広く要求される分野です。総合診療的修練を行うには最適な分野であることは間違いありません。実際に当科で数年修練を積んだのちに総合内科へ転科/出向された医師もおります。
一般内科全体に求められる基本的な手技に精通することができる
血液内科での手技は骨髄検査にとどまりません。CV挿入、髄注にともなう腰椎穿刺、胸水・腹水貯留に対する穿刺など、一般内科全体に求められる基本的な手技が頻繁に要求されます。当科での研修を通して、その後のキャリアで必ず必要とされるであろう多くの手技について修練を積むことが可能です。
診断から治療まで一貫してかかわることができる
血液内科は基本的に診断にあたりリンパ節摘出など外科の先生方にお願いすることはあるものの、骨髄検査などを含めて一貫して自分の科で診断し、治療することができる診療分野です。初診から診断、そして治療にいたるまで患者さんとずっとかかわることができることは大きな魅力のひとつです。
ここからは血液内科志望を考慮される際としての当科ならではの魅力を挙げます
悪性腫瘍のみならず、数多くの良性血液疾患を修練できる
血液疾患というと「白血病」や「悪性リンパ腫」などの悪性疾患を想起しがちかもしれません。実際、多くの方が学生時代に大学病院の実習などで悪性疾患を中心とした血液内科診療を見聞きして来られたのではないでしょうか?しかしながら、血液疾患の中には「貧血」「ITP」などの多くの良性疾患が存在します。これらの良性疾患を大学病院や大規模センター病院で日常的に経験することは実は難しい場合も多く、後期研修が終了した段階で症例経験に大きな偏りが生じてしまう専攻医も少なくありません。その点当科では、悪性疾患は勿論のこと、民間病院であるという特徴から非常に多くの良性疾患診療を修練可能です。がん専門病院や大学病院のような同種移植は行っていないものの、自家末梢血幹細胞移植は経験することができます。
また大阪中心部の病院ゆえに患者さんの年齢層も若年からご高齢の方まで幅広く、様々な強度の治療を幅広く行っています。専門医取得にあたって症例経験に困ることはありません。
大阪中心部という立地
インターネットでどこでも情報が多く得られた現在にあっても、onlineではなくface to faceで講演会を聞くためにアクセスがよい点は大きな強みです。
若いチームで和気藹々と研修できる
当科は他院に比べて珍しいほどの若手中心のメンバー構成です。気張らずに自由に発言や質問ができ、どのメンバーも教育的な屋根瓦式指導環境です。
血液内科専門医としての成長
白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった悪性疾患に関しては診断法から治療に至るまで、スライドをもとに基本的事項を初期/後期研修医向けに毎月講義を行っています。さらに、先進的な知識は大阪の立地を生かした複数の講演会や学会を活用し継続的に収集することが可能です。また、当院はUp to Dateも導入されており海外文献の契約もある程度されています。入院・外来を問わず、毎週木曜日の科内全体カンファレンスで難渋症例については討議を行っており、文献検索をしながらお互いに専門的知識を肉付けしています。基本的なことは講義したうえで、応用的なことは実践を通じて学術的に調べたり講演をうけたりしてupdateしています。
さらに、アウトプットする機会としても血液学会総会での発表を皆が積極的に行い、希望があれば和文のみならず英語での症例報告作成の指導にも行っております。当科では自分が成長するのみならず、人に指導できる人材を育成することを目標しています。
全診療科がそろっている病院
当院のように専門性がある診療科がすべてそろっている病院は全国的にも珍しく、安心して他科へのコンサルトができます。
以上が当科の紹介です。少しでも興味を持って頂けたら、当科の専攻の有無にかかわらず、ぜひ研修(1か月でも可能ですが2か月以上が理想的です)していただければと思います。また見学も大歓迎です。「試しに講義だけでも聞いてみたい!」という若手の先生、遠慮なくご相談ください!
当院初期研修医 血液内科ローテーションの一日
診療実績
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
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造血器悪性腫瘍合計 | 139 | 150 | 154 |
悪性リンパ腫 | 67 | 70 | 72 |
急性白血病 | 12 | 14 | 17 |
慢性骨髄性白血病 | 2 | 1 | 2 |
多発性骨髄腫/原発性マクログロブリン血症 | 37 | 41 | 43 |
骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍 | 21 | 24 | 20 |
再生不良性貧血、その他貧血、汎血球減少 | 6 | 5 | 4 |
特発性血小板減少性紫斑病やその他自己免疫性の血球減少 | 4 | 4 | 3 |