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形成外科・小児形成外科

後天性外表変形について

後天性外表変形

顎変形症

口元のかたちの不整やお顔の歪み、かみ合わせの不整に対する治療を行います。

顎変形症は咬合の異常を伴う顔面形態異常です。形態異常の種類として、反対咬合、正貌での顔軸のゆがみ、上顎前突、開咬などがあります。成長に伴って上顎と下顎の成長の調和不均衡が起きることで生じる顎変形症と、口唇口蓋裂や第一第二鰓弓症候群などの先天性疾患に伴う顎変形症があります。

顔貌と咬合の異常を改善するために、上顎と下顎の骨を切って正しい位置に移動し、固定する手術を行います。

※手術前後に矯正歯科医による専門的な治療が必要になります。具体的には、骨を移動した後にきちんとしたかみ合わせがつくれるように術前矯正を行い、術後に微調整と咬合の安定を図るために追加の矯正治療が必要となります。顎変形症の矯正歯科治療では健康保険が適用されるケースがあります。健康保険の適用には施設基準がありますので、こちらから施設基準を満たした歯科医院を紹介して、通院していただきます。 

顔面神経麻痺後遺症

麻痺の程度や症状に応じた顔面神経麻痺後遺症治療

顔面の筋肉(表情筋)の運動を支配している顔面神経に、何らかの原因で麻痺が起こると、おでこや眉毛、頬やくちびるなどの動きに障害がでます。麻痺側の眉毛の位置が下がり、上まぶたの皮膚が覆いかぶさることで視野が狭くなります。また、まぶたが閉じにくくなり、眼が乾燥したり炎症を起こすことがあります。麻痺側のくちびるがさがり、ほうれい線(鼻唇溝)が消失したり、食べ物や飲み物がこぼれでることがあります。

顔面神経麻痺の患者さんはまず耳鼻咽喉科を受診することが多く、そこでは神経の再生を促したり、神経の浮腫をとるような点滴治療が1−2週間行われます。多くの患者さんにおいては神経の再生が起きて、麻痺がある程度は回復することが多いです。

しかし、顔の筋肉は動くようになったのだけど何か不自然な動きになってしまうという状態に多くの患者さんがなってしまいます。これを顔面神経麻痺後遺症と呼んでいます。

当院では、耳鼻咽喉科での点滴治療後にそのような症状が遺ってしまった患者さんに対して治療を行っています。

老人性眼瞼下垂症、眼瞼内反症

年間80症例程度の手術を行なっています。

眼瞼下垂とは、まぶたが開きにくくなり、みえづらさが生じる状態です。眼瞼下垂には先天性(生まれつき眼を開ける力が弱い)と後天性(生まれたときからではない)のものがあります。後天性眼瞼下垂の原因としては、腱膜性、外傷によるもの、他の病気(重症筋無力症など)に伴うものなどがあります。

この中で最も多いのは腱膜性眼瞼下垂であり、加齢やコンタクトレンズの装着、よく目をこする習慣などが原因となります。挙筋腱膜という薄い膜がのびて緩み、まぶたを開ける力が伝わりにくい状態となることで生じます。外見的には、眠たそうな重たい目つきになり、眉毛が強く上がり、おでこに深いしわがよります。またみえづらさに伴い、しばしば頑固な肩こりや頭痛に悩まされることがあります。

この腱膜性眼瞼下垂の症状に対しては、伸び切って緩んでしまった挙筋腱膜を正しい位置に留めなおす手術(眼瞼下垂症手術:挙筋前転術)を行います。余剰皮膚がある場合には、同時に皮膚も切除します。

治療の重要なポイントとしては、上まぶたを元通りの開瞼しやすい状態にすることはもちろんのこと、もともと二重まぶたである方や希望される方に、整容的にも受容できる二重まぶたに仕上げることです。特に後者の整容的な部分については、症例を多く扱っている施設でなければ難しい部分といえます。手術はまぶたの部分のみの部分麻酔で行い、片方のみでも両方同時でもどちらでも可能です。通常は日帰り手術で行ないますが、希望がある場合には短期間の入院も可能です。

その他、先天性眼瞼下垂あるいは後天的に眼をあける眼瞼挙筋の力が弱い方などには、筋膜や人工物を用いたつり上げ術による治療を行っています。

それぞれの症状と機能の状態に応じて、患者さんに適した術式を選択しています。

リンパ浮腫

保存的治療と外科治療を組み合わせたハイブリッド治療

当院では原発性リンパ浮腫、続発性リンパ浮腫の治療に取り組んでいます。

予防のための生活指導、診断のための検査、治療(保存療法・手術治療)等について、医師、看護師、リンパ浮腫療法士がチームとなり対応しています。

リンパ浮腫はいったん発症すると完治することが難しいと言われており、日々の生活のなかで悪化しないように長く上手に付き合っていくことが重要です。そのためには医療者だけでなく、患者さんご自身の自己管理が非常に重要になります。

乳房再建

乳がん治療とともに、前向きに生活していく手助けとなるような乳房再建

日本での乳がんの罹患率は増加傾向にあり、治療の過程で乳房を失うことは女性にとっては非常に大きな問題です。乳がん切除後の変形は、たとえ軽微なものであったとしても患者さんの心理状態に影響を及ぼすことは少なくありません。当院では乳腺外科医と形成外科医が協力しあいながら、患者さんが前向きに生活できるよう、乳房の再建を行っています。

乳房再建のタイミング

乳房再建の時期としては、乳房切除時に同時に再建を行う一次再建と、乳房切除後、別の時期に再建を行う二次再建とがあります。

一次再建は手術回数が少なくすみ、乳房を失う喪失感が少ない点がメリットとして挙げられます。これは乳がんの治療経過にもよりますので、乳腺外科との連携が必要となります。当院は乳腺外科と形成外科とが密に連携を行っており、同時再建も可能となっています。

また、乳がんの治療が落ち着いてから、二次再建として乳房を再建することも可能です。

乳房再建の方法

乳房の再建方法は、大きく分けて2つの方法:自家組織によるもの、人工物(シリコンインプラント)によるものがあります。

自家組織による再建

当院では自家組織を用いる方法として、背中の筋肉と皮膚を使う方法(広背筋皮弁)、おなかの皮膚を用いる方法(腹直筋皮弁、深下腹壁動脈穿通枝皮弁)を行っています。

患者さんの体格、生活スタイルや妊娠・出産の予定の有無などを考慮し、ご希望をふまえ適切な方法を選択します。

インプラントによる再建

シリコンインプラントを用いる方法では2回にわけて手術を行います。まずはエキスパンダーという皮膚拡張器を留置しておく手術を行います。このエキスパンダーに徐々に生理食塩水を注入して膨らませ、数か月かけて胸部の皮膚を拡張させた後に、シリコンインプラントに入れ替える手術を行います。

(最近になり、これまで一般的に使用されてきた表面がざらざらとしたテクスチャードタイプのインプラントによって、きわめてまれではありますが、ブレストインプラント関連未分化大細胞性リンパ腫(BIA-ALCL)というがんの一種が発生する可能性が報告されました。そのため、本邦では上記のインプラントは使用できなくなり、現在は、別タイプのインプラントでの乳房再建を行っています。)

乳房再建用インプラントの発がん問題についての当院の見解

当院は日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会のホームページに記載の見解に従って、インプラント再建を行っております。

詳しくはこちらのリンクを参照ください。

  1. 乳房再建用ティッシュエキスパンダーの手術を受け 乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を待機されている方へ
  2. 乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を希望されている方へ
  3. 乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた方へ

また、乳輪・乳頭が切除され欠損した場合は、乳房のふくらみを作成した後に乳輪と乳頭の再建を行います。

下肢静脈疾患(下肢静脈瘤、静脈うっ滞性潰瘍)

心臓から送り出された血液は、足の先端に達したのちに重力に逆らって心臓に戻っていきます。静脈には一方向弁が備わっていて血液が逆流しないようになっていますが、この弁機能が悪くなると静脈血の逆流が生じて、血液がうっ滞し、下肢の静脈が怒張して瘤を形成します。症状としては、見た目の問題に加えて足のむくみ、だるさが生じることがあります。未治療で放置すると、症状が進行して、皮膚に潰瘍を生じることがあります。

 

※治療は、まずはCTと超音波で静脈の逆流の評価を行ったうえで、拡張した血管を糸で縛ったり(高位結紮術)、瘤化した静脈を抜去します(静脈抜去術)。通常、短期間の入院が必要です。