先天性耳介変形
先天性耳介変形(副耳、埋没耳変形、折れ耳変形、小耳症)
先天性耳介変形とは?
耳の上部1/3が少し小さいために、変形が生じることがあります。見てもあまりわからないようなわずかな変形もあれば、病名がつくような比較的はっきりとした変形もあります。
名前がつく変形としては、埋没耳変形、折れ耳変形があります。
重度の耳介変形としては小耳症があります。耳を構成する要素のうち耳たぶのみが認められる小耳症(耳垂残存型小耳症)と耳の穴(外耳道)が存存した小耳症(耳甲介残存型小耳症)に分けられます。
埋没耳などの軽微な耳介変形の治療
生後すぐであれば、埋没耳などの軽微な変形では、テープなどを用いて、軟骨の形を整えてあげるだけで変形が矯正されることがあります。
矯正がうまくいかなかったり、変形が残存する場合は5歳くらいまで待って、簡単な手術で耳の形態を整えてあげると良い結果が得られます。
小耳症の治療
小耳症では外耳道が閉鎖していることが多いので、通常は難聴を伴います。耳の聞こえは言語の発達に大きく関わっているために、小耳症の治療においてはまずは聞こえの状態を正確に把握する必要があります。小耳症には片側にだけ小耳症を認める場合と、両側に認める場合がありますが、おおまかに言って、片側症例では言語発達に必要なだけの聴力は保たれていることが多いです。両側の場合は、補聴器などを適切に使用して言語発達に必要な聴力を得る必要があります。ですので、耳鼻科にて聴力の正確な評価がまず必要となります。
形成外科では耳の形を造る治療を行います。当科では永田法に準じた方法を用いています。耳は自分の胸の軟骨(肋軟骨)を用いて作成します。ほとんどの症例で、11歳時と12歳時の2期に分けて手術を行っています。
1回目の手術では肋軟骨を耳の軟骨の形に組み上げて(フレームワーク)、側頭部の皮下ポケットに納めます。1年後の2回目の手術では、耳の後面を側頭部から切り離して聳立(しょうりつ)させます。これで大きな手術は終了となり、あとは必要があるときにメンテナンス(脱毛など)を適宜おこないます。