睡眠時無呼吸症候群に対する外科的治療
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療
CPAPが合わない方・顎顔面から考える治療
はじめに
- いびきが止まらない
- 日中のひどい眠気
- 夜中に何度も目が覚める
- 呼吸が止まっていると言われる
これらは睡眠時無呼吸症候群の典型的な症状であり、放置すると日常生活や健康に影響を及ぼす可能性があります。
「CPAPを使っているがつらい」「治療は終わったと言われたが、症状が残っている」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
当院は、睡眠時無呼吸症候群に対して内科的治療(CPAP管理など)を行う施設ではありません。その代わり、顎・顔面の形態や気道構造に着目し、外科的観点から再評価を行う専門外来として診療を行っています。
当院の診療範囲について
当院ではすでに内科・呼吸器内科などで検査・治療を受けている方を対象に、
- 骨格や顎の位置
- 舌・軟部組織の位置関係
- 気道の形態的狭窄
といった「形の問題」に焦点を当てた評価と治療の検討を行っています。
なぜ起こるのか ― 骨格と気道の関係
閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、舌や軟口蓋などの軟部組織が、睡眠中に気道を塞いでしまうことが原因となります。その背景には、下顎が小さい、または後方に位置している上顎の発育が不十分、顔面骨格のバランスの問題など、顎顔面骨格の形態が関与している場合があります。
このようなケースでは、マスクで空気を送り込むCPAP治療だけでは、十分な改善が得られないこともあります。

睡眠時無呼吸症候群の診断
睡眠時無呼吸症候群の診断は終夜睡眠ポリグラフィーという装置を用いて行われます。
この装置を用いて、閉塞型呼吸イベント(閉塞型無呼吸+閉塞型低呼吸+呼吸努力関連覚醒反応)が1時間に15回以上観察される場合に、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
※ 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)は 睡眠中の呼吸・脈拍・酸素飽和度などを測定し、 無呼吸・低呼吸の回数を指標(AHI)で評価する検査です。
治療の選択肢について
顎の位置を改善する手術
外科的治療(顎顔面からのアプローチ)
上下顎を前方へ移動させることで、舌や軟部組織が後方へ落ち込むのを防ぎ、気道の容積を根本的に拡大することを目的とします。この治療は、CPAPがどうしても合わない方比較的若年で重症の無呼吸がある方、顎変形症を伴う方などで検討されることがあります。
※すべての方が手術適応となるわけではありません。
※顎の位置を変える手術は健康保険の適用外(自費手術)になる場合があります。
顎手術について詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。
のどの奥に原因がある場合の手術治療
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)

口蓋垂(のどちんこ)とその周囲の口蓋を部分切除して減量することで、通気を改善させる方法です。この手術は耳鼻咽喉科が担当します。
当院の睡眠時無呼吸症候群診療体制(形成外科 × 耳鼻咽喉科)
当院では、形成外科と耳鼻咽喉科が連携したチーム医療として、睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診療を行っています。
外来の入り口は形成外科で、まず 顎・顔面骨格や舌根部を中心とした気道評価 を行います。
そのうえで、同日に耳鼻咽喉科を受診し、口峡部(軟口蓋周囲)の精査を行う体制をとっています。
このように、舌根部(主に骨格・舌位置による狭窄)口峡部(軟口蓋・咽頭周囲の狭窄)を別々ではなく、同じ視点・同じ日に評価できることが当院の大きな特徴です。
なぜこの体制が重要なのか?
狭窄部位によって、適切な治療は異なります
睡眠時無呼吸症候群は、「どこが狭くなっているか」によって適切な治療方針が大きく異なります。
- 舌根部の狭窄が主な原因の場合→ 顎骨格や舌の位置を考慮した外科的治療が検討されます
- 口峡部(軟口蓋周囲)の狭窄が主な原因の場合→ 耳鼻咽喉科領域での治療が適していることがあります
当院では、形成外科・耳鼻咽喉科がそれぞれの専門性を活かし、原因に応じた最適な治療方針を共同で検討します。
こんな方は一度ご相談ください
- CPAPが合わず、治療を中断している
- いびきや眠気が改善しない
- 顎が小さい、噛み合わせの問題を指摘されたことがある
- 他院で「経過観察」と言われ不安が残っている
よくあるご質問
手術が必要になるのはどんな場合ですか?
骨格的な問題が無呼吸の主な原因と考えられる場合に検討されます。すべての患者さんが対象になるわけではありません。
保険診療は可能ですか?
病状や治療内容によっては保険診療の対象となる場合があります。詳しくは診察時にご説明します。
受診をご検討の方へ
睡眠時無呼吸症候群は、適切な評価と治療により、生活の質の改善が期待できます。
「今の治療で本当に良いのか」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
受診をご希望の方は、まずは形成外科を受診してください。形成外科で診察を行い、必要がある場合は耳鼻咽喉科でも診察を行います。受診時に睡眠時検査(ポリソノグラフィ)の結果を持参していただくと、通院回数が減らせる可能性があります。


