がん診療

がん薬物療法

がん薬物療法

外来化学療法センター

がん薬物療法とは

検診による早期発見や、診断・治療等の進歩により、がんに罹患しても長期生存が望めるようになりました。抗がん剤による薬物療法は、手術療法・放射線療法と並ぶ、がんに対する3大治療の1つですが、他の2つの治療に比べて、治療期間が長期に渡ります。以前は抗がん剤の投与を投与する際に入院が必要になることが多かったのですが、新しい抗がん剤や副作用をやわらげるための薬の改良などにより、治療効果の高い標準治療を、外来通院で安全に行えるようになりました。抗がん剤による治療を行いながら、家事や仕事など普段の生活を続けることも可能です。

外来化学療法センターの概要

淀川キリスト教病院では、外来通院で安全に治療を受けていただけるよう、2007年より外来化学療法センターを開設しました。当センターでは、主に乳がん、肺がん、消化器がん、婦人科がん、前立腺がん、悪性リンパ腫の患者さんに、抗がん剤・ホルモン療法・分子標的薬など、院内のがん薬物療法委員会で承認された治療を毎月約500件実施しています。

<設備について>

・ベッド(10床)、リクライニングチェアー(20床)計30床

・テレビを設置(ベッド)、テーブル(飲食可)

・オストメイト用トイレの設置など

安心・快適に治療を受けていただけるよう工夫しています。

当院は【外来腫瘍化学療法診療料】診療報酬施設基準を満たしています。

専門職が集まり、高度なチーム医療を提供します。

外来化学療法センターには、がん薬物療法専門医、がん化学療法認定看護師、がん専門薬剤師、管理栄養士、認定遺伝カウンセラーなど、多職種が集まり、専門知識を出し合って、患者さんに安心して治療を受けていただけるよう取り組んでいます。

医師の役割

治療効果、副作用の状況などを確認しながら、治療方法を適宜調節していきます。

各診療科の医師は、個々の患者さんに対して最も良いと思われる化学療法を考え、患者さんご本人やご家族と相談のうえ、具体的な内容を決定します。化学療法当日は、患者さんの体調を確認したうえで、投与実施可能か判断します。その後も、治療効果、副作用の状況などを確認しながら、治療方法を適宜調節していきます。

看護師の役割

点滴管理から、副作用が軽減する方法を患者さんと一緒に考え、院内の各部署と連携しながらサポートします。

外来化学療法センターの看護師は、抗がん剤の点滴管理はもちろんですが、患者さんが安心して通院治療を受けられるよう、緊急時の対応について説明したり、副作用が軽減する方法を患者さんと相談しています。また、がん相談支援センター、地域医療連携センター、緩和ケアチームなどとも連携を取りながら、ご自宅で過ごす工夫のサポートもしています。

薬剤師の役割

がん薬物療法のスケジュールや副作用の注意点を丁寧にご説明します。

薬剤師は、まず抗がん剤処方(レジメン)の投与量や日数間隔などをチェックし、投与予定日に医師より化学療法実施可能の指示が出れば、薬剤の調製を行います。また、患者本人やご家族に対して、がん薬物療法スケジュールや副作用の注意点を説明すること、副作用の状況を確認したうえで、必要なお薬の処方を医師に依頼することなども行っています。

外来化学療法の流れ(月~金曜日)

1受付
2採血
3体重測定・血圧測定・問診(看護師)
4診察(医師)
5治療開始・抗がん剤の調製(薬剤師)
6投与管理(看護師)
7薬剤の指導(薬剤師)
8日常生活の相談(看護師)
9会計
10帰宅

トピックス

がんゲノム医療と遺伝子パネル検査

遺伝子検査の結果を、がん薬物療法につなげた医療のことを、がんゲノム医療と呼びます。がんの発生には、体の細胞の中にある遺伝子の変化が関わることがわかっています。近年、遺伝子検査の質が高くなり、個々の癌に対して有効な薬剤が見つけやすくなっています。例えば、EGFR遺伝子変異のある肺癌に対するEGFR阻害薬、HER2陽性の乳癌、胃癌、大腸癌などに対する抗HER2薬など、分子標的治療薬と呼ばれる薬剤があります。

従来は遺伝子の変化を1つずつ調べ、薬の適応があるか判断していましたが、近年、次世代シークエンサーという装置を用いて多数の遺伝子を一度に調べることも可能となり、2019年6月には、適した抗がん剤をみつけることを目的とした、がん遺伝子パネル検査が日本でも保険適応となりました。がん遺伝子パネル検査は、標準的な薬物療法が終了する頃でないと行えないという規定があること、検査を行っても適した治療が見つからない確率の方が高いことなどの課題もありますが、検査結果と結びつく可能性のある薬剤が増えるにつれて、実施することが多くなってきています。

検査の実施は、がんゲノム拠点病院という国が指定した施設のみで行えることになっています。このため、当院では必要があれば近隣の施設に紹介し、検査を実施しています。

免疫チェックポイント阻害薬など新たな薬物療法

従来の抗がん剤は正常な細胞にも影響し、例えば白血球減少や脱毛などの副作用を起こすことも多いです。一方で分子標的治療薬の中には副作用が軽いものも多く、効果があれば年単位で治療継続できることも増えています。

更に免疫チェックポイント阻害薬という、がんをリンパ球が攻撃する力を高める薬剤が登場し、多くのがんで使用可能となってきています。効果がある場合は年単位で治療効果が持続する場合もあり、適応のある癌では重要な治療選択肢となっています。つらい副作用は出ないことも多いですが、甲状腺機能低下など免疫チェックポイント阻害薬に特有の様々な副作用の有無に常に注意して治療を続けることも大切になります。