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小児外科


概要

先天性疾患を中心に、小児科の協力体制のもと救急疾患も含めて、年間250例以上の手術を行っています。また、お子さまの健やかな成長を祈りつつ診療しています。

小児外科疾患として多いのは?

鼠径ヘルニア(脱腸)、陰嚢・精索水腫、臍ヘルニア(でべそ)、停留精巣(睾丸)などが挙げられます。これらの疾患は健診などで指摘されることが多く、その治療方法や時期についてご家族と相談のうえ決定します。

新生児の疾患およびそのほかの疾患

先天性食道閉鎖・狭窄症、腸閉鎖症、鎖肛、ヒルシュスプルング病、腸回転異常症、横隔膜ヘルニア、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、水腎症などがあり、新生児科と協力のうえ診断、治療を行います。最近では鼠径ヘルニア、虫垂炎、ヒルシュスプルング病、漏斗胸、卵巣腫瘍といった疾患に対しては鏡視下手術を行っています。また膀胱尿管逆流症、急性陰嚢症(精巣捻転、急性副睾丸炎)、真性包茎といった小児泌尿器疾患の治療も行っています。
胆道閉鎖症や胆道拡張症、胃食道逆流症、頚部腫瘤・瘻孔も治療を行い、術後も厳密に経過観察をさせていただいております。 避けることのできない手術の傷。お子さまが背負うことになる傷痕を、できるだけ目立たなくなるように日々努力しています。

スタッフ紹介

春本 研

役職 初期研修管理室長、小児外科部長
学会専門医・認定医
日本外科学会外科認定医・専門医
日本小児外科学会専門医・指導医

三藤 賢志

役職 副医長
学会専門医・認定医 日本外科学会外科専門医

高松 由布子

役職 医員
学会専門医・認定医 日本外科学会外科専門医

鼠径ヘルニアとは

「鼠径(そけい)」とは、太もももしくは、足のつけねの部分を指し、「ヘルニア」とは、体内の臓器が正常な位置からはみ出した状態を指します。つまり「鼠径ヘルニア」とは、通常はお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる下腹部の病気です。いわゆる「脱腸」と呼ばれている病気です。

治療法①用手還納

用手還納法というのは、嵌頓(かんとん)といって腸管が鼠径部の鼠径管というトンネルにはまり込んでしまった状態に対して、医師が手で腸をあるべきところに戻す手技です。これでほとんどが戻りますが、嵌頓はまず用手還納法を行ってみて、それでも治らない場合には手術になります。

 

治療法②腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術

 徳島大学の嵩原先生が考案した手術法でLPEC法とも呼ばれています。(Laparoscopic Percutaneous Extraperitoneal Closure)

対象となる疾患

  • ・鼠径ヘルニア

  • ・陰嚢水腫

  • ・精索水腫

  • ・ヌック水瘤(女性水瘤)

  • 当院では年間120件前後の腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を行っています。最近は本術式を行う施設も増えてきていますが、女児に限って行っているところが多いようです。
     

鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術の利点

  • 対側(腱側)の検索も可能で、所見があれば同時に予防的手術が行える。実際63.5%で、対側の腹膜鞘状突起の開存が見られた。
  • 傷が小さく、目立たない。
  • 嵌頓後、従来法では1ヶ月の間隔を設けていたが、本術式は期間を置かずに手術が可能。
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鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術の問題点

  • 長期的予後が不明。
  • 体重が小さい児では、気腹により横隔膜が拳上し術中換気不全に陥る可能性がある。当院では3kg前後から本術式を行っており、開腹歴があれば腹腔内での癒着の可能性から手術ができないこともある。
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治療結果

 結果①術後対側発生

症例数 0例(/片側症例 888例):0%

腹膜腱状突起の開存に対しては、ごく小さなものであっても基本的に閉鎖術を行う。

従来法での対側発生は1~10%あるとの報告。

結果②再発

症例数 2例(/全症例 965例):0.2%

他施設での報告は0.73%~1.9%など。

※対象-平成17年4月~平成24年12月期間の鼠径ヘルニア手術例987例中、LPEC法を選択した965例

小児外科が扱う救急疾患について

 当院では小児救急疾患に対し、小児科を中心に24時間態勢で対応しています。 そのなかには小児外科の専門知識を必要とする疾患もあります。

 

急性腹症

いわゆる“おなか痛”です。

便秘によるものが多いですが、中に急性虫垂炎やメッケル憩室炎、腸閉塞(術後の癒着によるものや、腸重積症、また先天的な索状物、腹腔内の隙間などに腸管が嵌り込んで起こるものもあります)、腸捻転(腸管の一部が捻れてしまうもの。腸回転異常症などが挙げられます)、その他尿路系疾患(水腎症や膀胱尿管逆流症による腎盂腎炎など)や女児であれば卵巣腫瘍の茎捻転といった外科的治療を必要とするものがあります。

診断のために採血の他、単純レントゲン撮影やUS(超音波検査)、CT(造影することも)、消化管造影などを行います。

腸管や卵巣などの血流障害が危惧される場合は緊急手術が必要となります。その他の疾患でも、手術適応があれば適切な時期に手術を行います。手術は開腹手術、もしくは腹腔鏡下手術のいずれかを疾患により選択します。

 

急性陰嚢症

消化管の異物としては小さなおもちゃやボタン電池などが多いです。

ボタン電池は放置すると漏電を起こし、粘膜を損傷する危険性があるため食道、胃にあるものは磁石つきのカテーテルで摘出を試みます。

男児で、突然陰嚢(睾丸)が痛くなることです。

急性副睾丸炎が多いですが、緊急手術を要する精巣捻転症も鑑別が必要です。診断にはドップラーUS検査や、必要に応じて造影CTなども行います。精巣捻転症は放置すると精巣が壊死(腐ってしまう)する危険性があるため緊急で手術が必要です。

また鼠径部から陰嚢にかけて腫脹を伴った痛みの場合は鼠径ヘルニアの嵌頓が疑われます。意思疎通の出来る子どもであればちゃんと痛みを訴えてくれるのでわかりますが、まだ泣くだけの赤ん坊であれば家族が気づいてあげないと痛みのためいつまでも泣き止みません。いつもと違う癇の強い泣き方をしている場合は、必ずおむつを開けて鼠径部の腫れがないかチェックが必要です。泣き止むと自然に軟らかく小さくなるようであれば急を要することはありませんが、泣き止まずに鼠径部が硬いゴムの塊のように触れる場合はまず抱っこしたり、おっぱいを吸わせたりして赤ちゃんの力が抜けるようにし、それでも戻らない場合はかかりつけ医にすぐ連絡を入れて受診してください。

そのまま放置しておくと嵌り込んでいる腸管や男児であれば精巣、女児であれば卵巣が腐ってしまう恐れがあります。

 

気道、消化管異物

それ以外のものやすでに胃の先の十二指腸以下に異物が入り込んでしまっている場合はそのまま自然排泄を期待して様子観察となります。

釘などの先が尖っているものも食道に引っかかっている場合を除いて、基本的に自然排泄を待ちます。というのは無理に口から摘出しようとして食道などを傷つける危険性があるからです。自然排泄を待ってもずっと同じ場所に停滞している場合は開腹術が必要になることがあります。

気道の異物で特に問題になるのはナッツ類です。ナッツの油脂成分が気道の刺激になり、炎症などを惹起します。気道異物の診断には胸部単純レントゲン撮影やCT検査が必須です。異物が証明された場合は気管支鏡を用いて異物の摘出が必要となります。換気を行いながらの処置になるため摘出は困難を極めます。またナッツなどであれば鉗子で掴むことは難しくどうしても気道に残ってしまうこともあります。

いずれにしても気道異物、消化管異物は予防が大切です。 普段から小さな子ども達の周囲に危険なものが目に入らないように、手が届かないように注意が必要です。

小児の便秘について

小児の便秘については下記内容をご覧ください。

 

小児の便秘

小児における便秘症を考える上で、人間必ずしも毎日排便がみられる必要はなく、数日に1回でも排便がみられ、普段の食事がしっかり摂取でき、体重増加も良好で、腹部膨満や腹痛、嘔気、嘔吐などの症状がみられず、また排便時に痛みや出血などの苦痛を伴わない、と言うことであれば問題にはなりません。逆に言うと、毎日排便があっても、排便時に毎回出血して痛みを伴う、という場合、これは便秘症に準じた対応が必要となります。

上に挙げた項目の1つでも引っかかる場合は何らかの介入が必要となりますが、まず最初に考慮すべきは食事面です。基本的には水分をしっかり摂取し、炭水化物やタンパク質、脂肪といった各栄養素をバランス良く食べてもらうことが一番ですが、季節や体調により一時的に便が出にくくなることはよくあることです。そのような時は意識して食物繊維を取ったり、水分をしっかり補給したりしてもらいます。それでもコントロール不良であれば、グリセリン浣腸やその児に合った緩下剤を投与します。

便秘症はその児それぞれで病態が異なるため十分な病歴聴取が必要です。診察も腹部触診のみならず直腸診(お尻の中に指をいれて診察すること)、腹部単純レントゲン検査などを行います。便秘症を小児外科がみる理由は、それらの中に外科的治療を要する疾患が隠れているからです。ヒルシュスプルング病や低位鎖肛などが挙げられます。これらの疾患により便秘症を来す場合、症状出現は早ければ出生後間もなくから乳幼児期に至るまで様々なパターンがあります。診断のために単純レントゲン検査の他、注腸造影検査(お尻から造影剤を注入する)や直腸肛門内圧検査(お尻の中に圧センサーを挿入し、疑似便も注入してその圧変化を観察する)、さらには腸管壁の生検術を必要とすることもあります。

診断がつけば手術が必要となります。手術方法やその適正時期はその児それぞれで考慮し決定します。手術後も外来で綿密に排便コントロールを行い、将来的に自立排便が確立するようにサポートしていきます。一般的な便秘症のコントロールは長期間に及ぶことが多いです。特に乳幼児期からのケースではしっかりコントロールしておかないといったん便秘傾向になるとなかなか自力で排便できなくなってしまいます。いったん排便時の痛みを知ってしまうと排便を我慢してしまい、直腸に溜まった便が水分を吸収されて固くなり、またいざ排便しようとするとお尻が切れて痛みで苦しむ、という悪循環に陥ってしまいます。便を常に溜め込む習慣がついてしまうと、便意を感じるセンサーの働きが落ち、便意までわからなくなってしまいます。便秘症の最終段階は自力排便が出来ず、便意も感じず、知らないうちにパンツに水様便が付着しているという状態です。こうなってしまうとグリセリン浣腸では全く反応しなくなるため、排便コントロール目的で入院が必要になることがあります。

普段から上手に管理しておけばトイレトレーニングを進めて行く過程でちゃんと自力排便が認められるようになることが十分期待できます。そのためには継続した食事管理や適当な運動を含めた生活習慣の改善、および排便コントロールが必要ですので、きちんと外来に通っていただくことが必要になります。