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検査から手術まで精度が高く患者支援も手厚い乳腺外科

主に乳がんの診療のほか、乳腺炎や乳腺の良性のしこりなどの治療も行う乳腺外科。もともと外科の中に含まれていましたが、乳がんの治療の進歩にともない、よりプロフェッショナルな治療を行うべく分離・独立する形で設置された診療科です。また治療に加えて患者さんに寄り添った支援にも力を入れ、全人的な医療を提供しています。

検査内容・システムが充実

河合 当院は地域密着型の総合病院で地域の診療所から患者さんをご紹介いただき、しこりが見つかった初期の段階の方から、見つかった時点でステージ4の方、再発乳がんの方まで幅広く受け入れています。

永森 健診を専門とする健康管理増進センターがあるので、患者さんをご紹介いただいたらすぐに検査し、所見が見られる場合はできるだけ早く外来予約をとり、診療に移るよう努めています。

福田 乳がんの検査方法と言えば、マンモグラフィーが知られていると思います。マンモグラフィーは痛みを伴うから苦手という方もいらっしゃいますが、当院の技師はスキルがあり、ひどい痛みを感じたという患者さんはほとんどいらっしゃいませんね。

河合由紀乳腺外科部長

永森 マンモグラフィーだけでなくエコーを用いた検査も行っています。一般的には技師が検査を行いますが、当院ではすべて医師が行うのが特徴です。技師が行う場合は治療の必要がない良性のものも含めて幅広く検査してくれるというメリットがありますが、時間がかかる場合が多いと思います。対して医師は重要な所見を重点的に診るため、比較的短時間で検査を終えられます。また検査後そのまま外来診察に移れるのもメリットですね。

河合 一般的には検査と外来は別枠なので検査後に待ち時間があったり、場合によっては後日再度外来に来ていただかなければならないこともあるのですが、当院なら同日に受けていただけると好評です。

永森 病変の発見率が高いMRIも、当院では乳腺外科のための時間枠を毎週設けているため、比較的受けていただきやすいですね。

遺伝子カウンセリングも対応

永森瑞城副医長

河合 市の乳がん健診は2年に1回受けるよう推奨されていますが、家族歴や遺伝性の素因がある方は1年に1回の頻度で受ける方がいいと思います。

福田 当院は遺伝カウンセリングも行っていますので、遺伝性腫瘍が気になる方は受けられるのもいいかもしれませんね。

永森 がん遺伝子パネル検査をしていれば、乳がんを発症した際、よりその人に合った抗がん剤を選択できる可能性が高まります。

河合 遺伝カウンセリングは一定の要件を満たせば保険が適用されますので、そういった方には積極的にお声がけしています。

福田 更年期障害の症状が強くてホルモン補充療法を受けている方の中には、乳がんのリスクが高くなるケースも見られます。

河合 最近ではリスクの低いホルモン製剤も出てきていますが、中には以前の製剤を使われていることもあるので、婦人科等の専門機関に相談していただく、もしくは検査を受けていただくほうがいいですね。

福田 乳がんは自己触診も有効なので、月に1回、お風呂のときにでもセルフチェックしていただくようおすすめしています。

永森 基本的には痛みがあるしこりの場合は乳がんである可能性は低く、逆に痛みのないしこりの方が怖いとされています。また乳頭から赤や茶色の血性分泌があって、乳がんが見つかることもあります。

河合 乳がんは早期発見・早期治療ができれば、5大がんの中でも比較的予後がいいがんです。もし乳がんになっても治療を経て健やかな生活を取り戻せるよう、健診やセルフチェックを欠かさないようお願いしたいです。

迅速診断で精度の高い手術

河合 当院の手術数は、乳がんが年間で120から150例。良性疾患の手術を含めれば200例ほどになります。

福田 手術中に検体を出して迅速診断ができるのも特徴だと思います。切除した乳腺の端にがんが及んでいる場合は、その場ですぐ追加切除、拡大切除の判断ができますし、リンパ節に転移があると診断されれば、リンパ節郭清に術式を変えたりもできます。

永森 迅速診断ができないと、手術を終えてから病理結果を診て、結果が悪ければ2回目、3回目の手術をしなおさないといけなくなります。それを極力減らし、患者さんの負担を低減できる体制となっています。

福田千紘 医師

河合 乳がんの切除をされる方は、乳房再建について関心が高いと思います。当院では形成外科の常勤医と協力し、切除を終えてすぐに再建術を行っており、乳房再建のすべての術式に対応しています。

永森 化学療法に関しても、他の診療科と協力して副作用に素早く対応できますし、施設条件のある薬も使用できる体制となっています。放射線治療も当院で受けていただけますので、他の病院に行かなくてもこちらで治療を完結できるというのは、患者さんにとっても安心していただけるのではないでしょうか。

ブレストケアチームが支援

河合 現在ではあらゆる医療においてチーム医療が基本となっていますが、当院の乳腺外科でも乳がん専門の「ブレストケアチーム」を組織し、医師以外にもさまざまな職種のメディカルスタッフが治療に関わっています。がんの告知の際に同席するがん看護専門看護師やがん化学療法看護認定看護師、患者さんの精神的な面をサポートするリエゾンの専門スタッフなどがおり、手術を受けたかた全員に管理栄養士による栄養指導を行っています。もちろん緩和ケアも当院で完結できますし、退院時に不安のある方にはメディカルソーシャルワーカーが介入し、退院後の生活をサポートしています。

永森 病棟の看護師も乳腺を専門に担当する看護師が決められていますし、市中の総合病院にも関わらず大学病院やがん専門病院なみの体制を築いているのは稀ではないでしょうか。

福田 入院時には、手術のための準備、手術後のこと、術後の日数に応じたリハビリ方法、退院後の生活などについてまとめた当院独自のしおりをお渡ししています。

河合 外来診察時からライフサポートプログラムが介入し、告知後の心のケア、新しい治療に移るときの詳しい説明、医師の説明の補助などもしてくれています。医師が一方的に伝えるだけでなく、相談や不安も聞き入れ、患者さんの意思決定に寄り添って支援しておりますので、患者さんにとって不安なく治療に専念できる環境が整っていると思います。

受診の際のご注意

当院を受診の際は、かかりつけ医を通じて当院「地域医療連携センター」でご予約をお取りください。

取材日:2023年10月

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