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血液内科

血液内科

概要(医療機関の方向け)

血液内科では赤血球・白血球・血小板の量的・質的異常をきたす疾患を診療しています。具体的には、血液のビタミンB12や葉酸などの血液の材料が不足することによる血球減少症、骨髄不全、逆に血液を作りすぎてしまう骨髄増殖性疾患、血小板減少や凝固因子の欠乏により出血しやすくなる血液凝固異常、免疫異常により血液が壊されてしまう溶血性貧血などがあげられます。(鉄欠乏性貧血は消化管出血や過多月経などの出血を伴う場合が大半のため、原因となる可能性の高い診療科の受診を推奨します)

また、血液の細胞ががん化することによる白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫といった悪性腫瘍に対しても、抗がん剤治療、免疫療法、分子標的療法など常にアップデートした治療を提供可能です。どの疾患の診療においても、なるべく学術的な根拠のある治療を提供しており、希少性の高い疾患や病態であっても文献を基に適切な診療を行っており、血液学会を中心とする学術集会では毎年多くのスタッフが発表し論文も作成しております。また週1回のカンファレンスでは、新規の患者さんのみならず、治療を相談したい患者さんの情報の治療方針を全員で共有し討議・検討を重ねるため、どのスタッフの外来でも均質な医療を提供できるようにしています。

当科は日本血液学会専門研修認定施設であり、クリーンルームを合計6床擁し、重度の免疫不全を起こしうる強力な抗がん剤治療を行う環境を整えており、自家末梢血幹細胞移植も施行可能です。また当院では施行できない同種造血幹細胞移植やCAR-T療法、専門性の高い先天性血液凝固異常疾患を要する場合には、近隣の大学病院を含めた専門施設と連携し、適切なタイミングで紹介しております。

また、当科では本ページの最後にある「血球の減少の原因を理解するために※」の項目にある内容のような教育用の記事をさらに専門的な形で、血液内科を理解していただくためHOKUTOという医療従事者を対象としたアプリに寄稿しています。参考にしていただければ幸いです。

概要(患者さん向け)

血液内科では「赤血球」「白血球」「血小板」といった血液の3大成分の質が悪くなったり、量が増加・減少したりする病態を中心に診療しています。
まずは血液の3大成分である「赤血球」「白血球」「血小板」について説明します。

「赤血球」は全身の臓器に酸素を運ぶ細胞で、少なくなると貧血と呼ばれる病態となり重度になると動くと息切れや動悸がするようになります(立ち上がるとふらついたりめまいがしたりする症状を貧血と表現する方が多いですが、赤血球の減少によるもののみを正確には貧血と呼びます)。

「白血球」は細菌やウイルスなど外敵から身を守る軍隊のような細胞で、いわゆる免疫力を担っています。白血球が極度に少ない病態は免疫力の低下を引き起こし、感染症になりやすく、また重症化するリスクがあります。

「血小板」は出血したときにかさぶたを作る主成分となり、止血を担っています。血小板が極度に少ない場合には出血しやすくなり、出血したら血が止まりにくくなります。ぶつけたりケガしたりするなどの思い当たる原因がないのにあざができやすくなったり、口のなかに血豆や出血がみられることもあります。

これらの血液の3大成分である「赤血球」「白血球」「血小板」が逆に過剰に作られる病態を多血症と呼びます。そのなかの一部には、血液の成分が多すぎることでドロドロに濃くなることで、血管がつまりやすくなり脳梗塞や心筋梗塞になりやすい病態が含まれたり、血液を作りすぎる骨のなかの病気が潜んでいたりする場合があります。

これらの血液の3大成分は「骨髄」と呼ばれる全身の骨の中で一般的に作られています。骨髄の中では造血幹細胞と呼ばれる血液のもととなる赤ちゃんのような若い細胞が存在し、その若い細胞は骨の中で大人の細胞へと成熟し、先述の赤血球、白血球、血小板になり血管の中へと移動します。この普段採血される血管内の血液を、末梢血と呼びます。

検診や上記の症状のため血液検査を行った結果、これらの血液の成分の数が多すぎたり少なすぎたりすると異常とされ、血液内科へと紹介されることが多いです。血液の増加や減少原因となる病態をつきとめ、病態に応じて適切な治療を提示するのが血液内科の役割の一つです。

また、免疫力を司る「白血球」の質が悪化してがんとなってしまう血液がんに対し、抗がん剤治療を数多く専門的に行っています。リンパ球と呼ばれる白血球の一部の成分ががん化してしまうことで発症し腫瘍の塊を作ることの多い悪性リンパ腫、骨髄の中の血液の若い細胞である造血幹細胞ががん化してしまうことで発症する急性白血病、形質細胞と呼ばれる細胞ががん化してしまう多発性骨髄腫などはその代表例です。

私たちが診療で大切にしていること

血液の病気は顕微鏡でようやく見える細胞の質が悪くなったり量が異常となったりすることで引き起こされるため想像や実感しづらく、またインターネットや本で調べても理解がしづらいものが多いです。また、そもそも血液内科という診療科自体が大きな病院でないと存在せず馴染みが薄いことと思います。

そのような中、闘病生活の中での不安を少しでもやわらげ安心していただき、ときには長期にわたりつらい治療をうけるにあたっても自分の病気をきちんと理解したうえで治療に臨むことは、治療の必要性を認識することで頑張れることがあるため大切なことだと考えています。

そのため、診断がつき治療の方針をお話しする時間はゆっくり長くとるように心がけております。その際には病気によっては患者さんだけでなく、身内の方など心配される方と一緒にお越しいただくことをお勧めしています。

特に初診の外来では説明に時間がかけるためまとまった時間をとるために遅めの診察となることが多く、お待たせすることがあることをご承知いただければと思います。
また、血球減少のメカニズムを理解していただくため、かなり専門的な内容にはなりますが参考にしていた

施設認定

  • 日本血液学会血液研修施設