妊娠Q&A
妊娠や出産に関して、不安や疑問はつきもの。よくある質問や妊娠初期に知っておきたい情報を掲載しています。
妊娠中の疑問
Q.妊娠中にお酒を飲んでもいいですか?
妊娠中の飲酒は、赤ちゃんに悪影響を及ぼすことが明らかになっています。例えば、特異顔貌、学習障害、脳萎縮、発育不全などが増加すると報告されており、これらのリスクはアルコールを摂取した時期や量に関係ないとされています。したがって、妊娠中は禁酒するようにしましょう。また、授乳中の飲酒は母乳の分泌量を減少させ、摂取したアルコールは母乳中へ移行します。もし、飲酒してしまった場合には、飲酒後2時間以上あけてから授乳するようにしましょう。
Q.妊娠中の市販薬やサプリメントの使用上の注意点はありますか?
医師からの処方箋がなくても購入できる薬の中には注意が必要なものがあります。たとえば、解熱鎮痛薬の一部のものは、お腹の赤ちゃんの血管(動脈管)を収縮させたり、羊水を少なくしてしまう可能性があります。また、ヨウ素が含まれるうがい薬やのどのスプレーは赤ちゃんの甲状腺に悪影響を与える可能性があるため、妊娠中の使用は控えてください。心配な場合には購入時に薬剤師へ相談しましょう。
ビタミンやミネラルは妊娠中であっても食事からの摂取が基本ですが、葉酸はサプリメントでの摂取が推奨されています。厚生労働省のホームページでは、妊娠可能年齢の全女性に対してサプリメントによる1日0.4mgの葉酸摂取が推奨されています1)。葉酸サプリメントが推奨されている理由としては、葉酸を妊娠前から摂取することで赤ちゃんの神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎など)のリスクを減少させることが期待できるからです。ただし、神経管閉鎖障害が発生するのは妊娠6週までであり、この期間を過ぎてから内服しても効果はありません。また、この期間に葉酸サプリメントを摂取していなかったとしても、妊娠が順調に経過していれば心配する必要はありません。一方で妊娠中の過剰摂取に注意が必要なのはビタミンAです。配合ビタミン剤にはビタミンAが含まれていることがあるため、サプリメントを摂取する場合には葉酸のみのサプリメントにするか、ビタミンAが含まれない妊婦用サプリメントにしましょう。
1)https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/02.html(「統合医療」に係る情報発信等推進事業)
Q.妊娠中にコーヒーやお茶を飲んでもいいですか?
妊娠中であってもカフェインが含まれる飲料を摂取することができます。ただし、過剰摂取は流産や、赤ちゃんの発育に悪影響を及ぼす可能性があります。厚生労働省のホームページでは、1日200mg程度(コーヒーをマグカップで2杯程度)が摂取上限の目安とされています。また、健康に良いとされる特定の飲食物を大量・長期に摂取しないようにしましょう。たとえばプルーン、ルイボスティー、高カカオチョコレートなどのポリフェノールが含まれる飲食物を大量・長期にわたって摂取することで、お腹の赤ちゃんの血管(動脈管)が細くなったり、閉じてしまったりすることが報告されています。

Q.トキソプラズマ感染症について教えてください。
トキソプラズマは寄生虫の一種で、胎盤を経由して妊婦さんから赤ちゃんへ移行し、赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。抗体がない女性が妊娠中に初めて感染することで赤ちゃんも感染してしまう可能性があります。抗体を持っている妊婦さんの割合が減少しており、2013年から2015年の統計では妊婦さんの抗体陽性率は約6%とされています。妊婦健診で抗体を調べる検査は必須にはなっていませんが、当院では全員に検査をおこなっています。この検査で妊娠中の感染が疑われる場合には、感染をブロックする予防薬を処方します。何より、妊娠中に感染しないことが重要ですので、表の内容を参考に日常生活を確認してみてください。
