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24時間365日、消化器疾患の救急対応 がんや難病など消化器領域を幅広く網羅

上部消化管、下部消化管、肝臓、胆道、膵臓と幅広い消化器領域を診療する消化器内科。淀川キリスト教病院の消化器内科は、北大阪の基幹病院として救急対応、入院ベッド数など厚みのある体制を築き、地域において重要な役割を果たしています。

各分野の専門医が在籍し北大阪で有数の医療体制

渡辺 当院の消化器内科の特徴は24時間365日、消化器内科専門医による救急疾患の受け入れができることです。また消化器領域の各分野の専門医、指導医が在籍していて、一定以上の診療レベルを各分野において達成している点も挙げられます。常勤医は17名。病棟では常に50から60名の患者さんが入院していて、そのうち半数は救急外来からの緊急入院の患者さんが占めています。北大阪にある総合病院の中でもこれだけスタッフが充実し、病床数も多い消化器内科は3本の指に入るぐらいだと思います。
私は消化管の治療を中心に行っており、阿南先生は消化管に加え胆膵疾患を、松井先生は炎症性腸疾患の診療を担当しています。このほか肝疾患、膵疾患それぞれのリーダーもおり、診療にあたっています。

渡辺 明彦 消化器内科部長、副医務部長、消化器センター長

消化管がんを内視鏡で治療 難病も通院治療が可能

阿南 私は食道、胃、十二指腸、大腸といった消化管に関わる疾患を主に診療しています。中でも重要な疾患はがんであり、まず大切なのは早期に見つけること。早期であれば、内視鏡による治療も可能です。当院では複数名の医師が検討して診断を下し、内視鏡治療においても複数名の医師が関わることで、高レベルな診断に基づいた治療を提供しています。
当院では内視鏡検査と治療に力を入れており、「内視鏡センター」を開設しています。消化器内科だけでなく消化器外科、腫瘍内科をはじめ他科とも連携しながら内視鏡検査に取り組んでいます。内視鏡技師資格を持つ看護師や、内視鏡スコープの保守点検から治療機器の管理、介助まで医師をサポートする臨床工学技士など多職種が関わり、24時間365日安全かつ迅速に内視鏡検査および治療を提供できるよう体制を整えています。検査機器は最新の機種を適宜導入し、細径で高画質のスコープや鎮静剤を使うことで、苦痛の少ない検査ができるよう努めています。

松井 佐織 消化器内科部長

松井 炎症性腸疾患には感染性腸炎なども含まれますが、潰瘍性大腸炎やクローン病は治癒が難しく継続的な治療が必要な炎症性腸疾患です。これらの診断は時に難しいことがあり、慎重な判断が求められます。当院では内視鏡検査など一通りの検査を行い、複数名の医師が協議したうえで確定診断をしています。両方合わせて外来通院の患者さんは年間300名ぐらい。外来診療から入院まで対応し、保険診療内の内科治療はほぼ全て対応できる体制です。通常の治療でも治りにくい炎症性腸疾患の方には、ステロイド治療に加えて、免疫調整剤や生物学的製剤を用いた治療も外来通院で行っています。
この疾患は若い患者さんが多くいらっしゃいます。学生や働き世代だと、日常生活の中に1日3回の服薬や2週間ごとの通院などを織り込むことが難しいことがあります。患者さんそれぞれの生活に合わせ無理なく続けられる治療方法を一緒に探っていくのも、私たち医師の務めだと思っています。

地域ぐるみの連携を築き膵がん、肝炎の発見に努める

阿南 隆洋 消化器内科部長

阿南 膵臓に関して今もっとも力を入れていることは、膵臓がんの早期発見です。膵臓がんは発見が遅れることが多く、8割が、最も進行し根治が難しい状態で見つかっています。この現状を受け、膵臓がんを早期に見つけ出し早期治療につなげるための取り組みとして、当院では大阪市内5つの総合病院と各地域の医師会が連携する「大阪早期膵がんプロジェクト」に参加しています。
渡辺 さらに肝臓領域においても、放置することでがんになるリスクが高いB型肝炎やC型肝炎の患者さんを、近隣の医療機関や当院の他科にかかっている患者さんの中から見つけ出して、治療に結びつける「肝炎プロジェクト」に参加しています。
病院単体でできることには限りがあります。地域の診療所や病院と協力体制を築き、互いの機能を補い合うことでそれぞれの能力を発揮し、より広く住民の皆さまの安心と安全に寄与したいと考えています。

受診の際のご注意

当院を受診の際は、かかりつけ医を通じて当院「地域医療連携センター」でご予約をお取りください。

取材日:2023年3月9日

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