【心臓血管外科】論文掲載のお知らせ
ウルフ・オオツカ法を安全に施行するために、当院で開発した人工気胸を使用する技術についての論文がAnnals of Thoracic and Cardiovascular Surgeryという雑誌に掲載されました。
- Usefulness of Artificial Pneumothorax during Totally Endoscopic Off-Pump Left Atrial Appendage Closure and Surgical Ablation
佐藤医師からのコメント
ウルフ・オオツカ法とは、心房細動という不整脈に対する新しい治療法です。
この治療法により、心房細動そのものの改善が期待できるほか、左心耳という部分を閉鎖することで、心房細動のために飲まなければいけなくなっていた抗凝固薬の中止や、脳梗塞などの塞栓症を予防することができるようになります。抗凝固薬の中止ができることや、脳梗塞の再発リスクを低減できることは、患者さんによっては大きな価値を持ちます。
この論文は、内視鏡を使用した腹部や肺の手術で一般的に使用されている二酸化炭素による陽圧法を、ウルフ・オオツカ法に応用したところ手術時間の大幅な短縮が得られたという研究です。 これは当院で開発した技術で、ウルフ・オオツカ法を導入しようとされている他の病院にご紹介することもあります。
ウルフ・オオツカ法は、従来の心臓手術とは比べ物にならないほど低侵襲にできる手術ですが、代わりに通常の心臓手術とは異なる技術が必要となり、難しさがあります。特に内臓脂肪が多かったり心臓が大きかったりする患者さんは難しい場合がありますが、この人工気胸の技術を用いることで、そのような患者さんでも、より良好な視野で手術ができるようになります。
他にも止血がしやすくなるといったメリットがあり、安全性は変わらずに、手術時間の短縮が可能となりました。
出展:
Sato S, Azami T, Fujisue J, Inoue K, Okada K, Usefulness of Artificial Pneumothorax during Totally Endoscopic Off-Pump Left Atrial Appendage Closure and Surgical Ablation. Ann Thorac Cardiovasc Surg 2025: 31; 24-00156