【心臓血管外科】論文掲載のお知らせ
当院で行った研究が、医学論文データベースPubMedに掲載されました。日々の診療や研究活動を通じた成果が形になりましたので、ぜひ以下のリンクからご確認ください。
- Association between postoperative pain and analgesic use in minimally invasive cardiac surgery
佐藤医師からのコメント
当院で研究した、MICS手術のアプローチの違いによる術後疼痛の違いについての論文が、Journal of cardiovascular surgeryという1960年創刊と歴史ある英文雑誌に掲載されました!
MICS手術とは、従来は骨まで切る大きな切開で行っていた心臓手術を、胸腔鏡というカメラを使用することで小さな切開で行う術式です。切開が小さく骨を切らないので、術中の出血量が少なかったり術後の開腹が速いなどといったメリットがあります。
MICS手術は、慣れないうちはやや大きな切開で開胸器という傷を広げる器械を使用して行うことが多く、胸腔鏡で手術をすることに慣れるにしたがって、小さな切開で開胸器を使用しなくてもできることが多くなります。
当院では2017年からと比較的早い段階でMICS手術を開始しました。開胸器を使用するMICS手術から始めて、現在は弁膜症や不整脈に対する手術は、ほぼ開胸器を使用しないMICS手術で行なっています。
開胸器を使用しないで手術をすると、患者さんの痛みの訴えがずいぶん少ないと感じたことから、この研究を開始することとしました。
調査してみると予想通りに、[小さな切開で開胸器も使用しない場合] < [肋骨は離断しないけれども開胸器を使用する場合] < [大きな切開で肋骨の一部を離断して手術をする場合]の順に術後の痛み止めの使用期間は短く済んでいることが分かりました。
この論文が、より術後の痛みが少ない手術方法を考える一助になると期待します。

出展:
Sato S, Obata Y, Azami T, Fujimoto M, Inoue K, Okada K, Association between postoperative pain and analgesic use in minimally invasive cardiac surgery. J Cardiovasc Surg (Torino) 2024; Oct 9. doi: 10.23736/S0021-9509.24.13075-3. Online ahead of print.