股関節でお悩みの方
股関節痛(こかんせつつう)にお悩みの方へ
3つ以上該当する方はご相談を! | |
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□立ち上がり、歩き始めに痛い | □股関節の痛み、違和感 |
□お尻の痛みや太ももの痛み | □膝が痛む、重く感じる |
□歩くとき、体が左右に揺れる | □あぐらや靴下の着脱、爪切りが困難 |
□親兄弟・親戚に股関節疾患の既往がある |
★3つ以上該当する方は…ぜひ早めのご相談を!
関節の状態やご年齢、進行段階に応じてさまざまな治療方法がありますので、
「年だから仕方ない」、「我慢しよう!」と諦めないでください!
股関節のしくみ
骨盤の受け皿(臼蓋)に大腿骨のボール(骨頭)がはまり込んで球関節を形成しています。
それぞれの骨表面は軟骨層で覆われており、軟骨は臼蓋と大腿骨頭の動きをスムーズにすると共に、関節を動かした時、体重がかかった時の衝撃を緩和・吸収する働きがあります。
レントゲンでは隙間として写り、変性などの病期が進行すると軟骨層が削れ、この隙間が失われます。歩行動作では体重の約3倍の負荷が、また椅子からの立ち上がり動作、階段の登り降り動作においては体重の約4~6倍の負荷が股関節にかかります。
股関節痛について
原因として関節唇損傷やFAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)を始め、次に挙げる疾患等があります。
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
股関節が痛くなる代表的な病気で、国内では関節の形成異常によるものが多く、生まれつきか小児期に発症するものがほとんどです。加齢や体重増加などにより股関節の軟骨が擦り減り発症する場合もあり、患者さんの約80%が女性です。変形程度によって、レントゲンで前期→初期→進行期→末期と分けられ、歩行時に足の付根が痛んだり、股関節の動きが制限されるようになります。
進行すると、正座ができなくなり、常に痛みが出て歩行困難、遂には寝たきり状態に陥ります。画像検査を行うことで、現在の状態がわかりますので、早めの対応で痛みを解消し自立した生活を取り戻しましょう。
その他の疾患
大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)
一般的には発症年齢は比較的若く、30〜40歳代といわれています。しかしながら、近年では発症年齢に変化が生じており60歳代女性で好発するとの調査結果も報告されています。 大腿骨頭の血流が悪化し、骨細胞が死んでしまう(壊死)病気です。アルコールの多飲や、ステロイド剤の使用も関係していると言われています。大腿骨近位部骨折後の後遺症でも同様の症状になる場合があります。初期では夜間痛などの症状が特徴的で、進行とともに骨頭が潰れてくるため、前述の変形性股関節症に移行しやすくなり、股関節の痛みと歩行がしにくくなります。
リウマチ性股関節症
自己免疫の破綻が影響し、膝関節内で滑膜が異常に増殖することで、強い炎症を起こします。それにより関節の腫れや痛みが生じ、最終的には関節軟骨や骨の破壊が進行し、活動レベルを著しく低下させてしまいます。特に股関節は、関節リウマチによる関節破壊が生じてしまった場合、その進行は早く、また体重がよくかかる関節なので、疼痛が強く、急速に活動レベルを低下させてしまうのが特徴です。
股関節疾患の治療方針
関節疾患の場合でも、程度が軽い場合は、投薬や注射、理学療法といった保存的加療で症状を和らげる事ができます。しかしながら、痛みが継続する場合や、極端な変形で歩行が困難な場合、また関節リウマチが進行した場合には、人工股関節置換術などの手術治療が必要になります。
1.保存加療(かかりつけ医の先生と連携を行っています)
- 体重の減量(ダイエット)
- 運動療法(ストレッチ・可動域訓練・筋力訓練・水中運動)
- 薬物療法(飲み薬/関節内注射)
- 装具療法(足底板・サポーター・杖)
- 温熱療法(電気・超音波器具)
2.股関節鏡視下手術(こかんせつきょうしかしゅじゅつ)
股関節の内部に小さなカメラを挿入して、治療をする侵襲が少ない手術です。骨のトゲや遊離体などを除去することなどができ、骨同士の衝突も起こしにくくさせることができます。軟骨を再生することではなく、一時的な除痛と、変形性股関節症の進行を遅らせることが目的です。
3.寛骨臼回転骨切り術 (かんこつきゅうかいてんこつきりじゅつ)
関節の屋根を作るための手術で股関節の温存が可能です。つまり、関節周囲で骨切りを行い、回転させて骨頭に対する屋根のかぶりを改善させます。関節軟骨が保たれている前期〜初期で、かつ活発にスポーツを継続したい方や骨質の良い患者さんが適応となります。 軟骨がすり減る前にやることで、人工関節置換術を生涯受けずに済む可能性もありますが、 軟骨がかなり減った状態で手術をしてもあまり効果は期待できません。
4.人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)
軟骨損傷と関節変形が起こった部分を削り、金属やセラミック、ポリエチレンなどでできた人工股関節に置き換える手術です。図のごとく最終的な治療であり、痛みを取り除き、股関節の機能を回復させます。本邦では年間6万件もの手術がなされており、対象疾患は変形性股関節症、臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死、股関節リウマチ、急速破壊型関節症などが挙げられます。
当院においては、術後に数ヶ月〜1年ごとの間隔で定期診察を行い、人工関節が生体内で正常に機能しているかのチェックを行います。また長期間使用し、摩耗やゆるみをきたした人工関節や、人工関節周辺での骨折や感染などのケースでは、人工股関節の再置換術が必要になる場合があります。
今まで感じなかった違和感や突然発生した痛みなどがあれば当センターにすぐにご相談ください。
人工関節置換術の流れ
- 外来(手術前)
外来診察で手術前検査と手術説明を行います。
リハビリテーション科、麻酔科などの受診も併せて行います。 - 入院
基本的には手術日の1〜2日前に入院します。 - 手術
手術室に入ると麻酔が始まり、上記の手順で手術を行います。 - リハビリテーション
理学・作業療法士が最適な運動のお手伝いをします。 - 退院
安定した杖歩行、階段昇降、トイレや入浴などの自立が退院の目安です。
必要に応じて転院でのリハビリテーションプランも提案します。
股関節治療のQ&A
人工股関節の手術方法は?
当センターではMIS(Minimally invasive surgery : 最小侵襲手術)を導入しております。
MISの特徴は以下4点です。
- 傷跡が小さい
- 筋肉や腱のダメージが小さい
- 手術後の痛みが少ない
- 早期回復に期待できる
つまり筋肉を切らず、関節包を完全温存する前方系アプローチ(ALS、Modified Watson Jones:OCM等)、手術手技で上方系アプローチ(Super Path®、SA®)などを使用します。
変形の程度や体格等にも寄りますが、創部長(傷口)は従来法の半分程度の7~8cmほどで、平均手術時間は1時間程度、出血量も100~150ml程度です。
ナビゲーションなどは使用しますか?
はい、使用します。まず術前計画でCTデータを用いた3次元計画を行っており、患者さんそれぞれの骨形状に合った人工関節を選択します。その計画をナビゲーション機能と併用することで正確かつ再現性・安全性の高い人工関節の設置が可能となりました。
その他のQ&A
費用はどれくらいかかりますか?
例1. 70歳未満(3割負担/区分ウ:年収約370~770万円)
手続きをして限度額適用認定証・区分ウを持っている場合、
1か月あたりの入院費用は食事代を含めて約13万円。
例2. 70歳未満(3割負担/区分エ:年収約370万以下)
手続きをして限度額適用認定証・区分エを持っている場合、
1か月あたりの入院費用は食事代を含めて約9万円。
例3. 72歳(高齢受給者証1割/非課税世帯/区分Ⅱ)
手続きをして限度額適用認定証・区分Ⅱをもっている場合、
1カ月あたりの入院費用は食事代を含めて約4万5千円。
※費用は一例です。この限りではありません。
術後の入院期間はどのくらいですか?
症状により異なりますが、術後およそ2~3週間です。
退院後はどの程度動けますか?
炎症がひどくならないよう、手術後1ヶ月は積極的な外出は控えてください。
術後の回復には、どのくらい期間がかかりますか?
・手術後1ヶ月
デスクワーク・軽作業レベルの仕事復帰、自動車の運転
・手術後1~2ヶ月
杖なし歩行・自転車の運転
・手術後3ヶ月
旅行・簡単なスポーツ
※あくまで目安です。
手術後、どの程度の運動が可能ですか?
・奨励されるもの
ウォーキング、ハイキング、サイクリング、マシントレーニング、
スイミング、ボーリング、ゴルフ、軽いエアロビクスやダンス
・熟練者であれば出来るもの
スキー、アイススケート、ピラティス、ウェイトリフティング、軽いテニス
・奨励できないもの
テニス、ジョギング、スノーボード、サッカー、ラグビー、野球、
激しいエアロビクス、バスケットボール、ハンドボール 等