Interview

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臨床工学技士/臨床工学課

臨床工学技士になるきっかけ

臨床工学技士になるきっかけは、医師になりたくて浪人生だった時に、定期購読していた「医歯薬進学」と言う雑誌(出版社:玄文社)で臨床工学技士の紹介記事を見て興味を持ったのが最初でした。大阪にも学校があると言うことで、3月初めに学校見学に行ったところ、今受験すると4月から入学できると言われ、とんとん拍子に臨床工学技士の学校に入学することになりました。
今まで、浪人生活で一人でしたので、全国各地から色々な人が来て、友達が出来て学校生活は楽しかったです。友達の下宿先に集まってテスト勉強をするのも楽しく、教科書も定まっていないような時期でしたので、先生といっしょに新しい道を作っているような面白さがありました。

入職してみて

1病院目は、堺市にある総合病院の分院(透析専門)に入職しました。その当時は、どこの病院に行っても、臨床工学技士の仕事は血液透析だけのところが多かったです。そこでは6年お世話になりましたが、キャリアアップをしたくて2000年に転職しました。
卒業した学校の先生より淀川キリスト教病院を勧められて見学に行ったのですが、とても大きな病院で、ワクワク感がすごかったのを覚えています。その後、採用試験を経て、運よく入職させて頂きました。入職時、臨床工学技士は3名で、やはり透析業務のみでした。
大きく業務が変わったのは、2004年です。心臓血管外科が開設されたのがきっかけで、人工心肺業務が始まりました。舞鶴の病院から、立上げに来て頂いた職員もいましたし、その当時は、今では考えられないですが、メーカーさんの立ち会いがあり、直接教えていただきましたので、3年目から人工心肺をまわせるようになりました。
人工心肺の業務を皮切りに、MEセンターの立ち上げ、血管造影室、内視鏡センターでの業務、呼吸療法サポートチームへの参加、手術支援ロボット(da Vinci)の準備など業務を拡大して、あっという間にスタッフが増えて、今では21名になっています。

当院の方針は、ジェネラリストの養成なので、例えば月曜日と木曜日は手術センター、火曜日は透析センター、水曜日は血管造影室、金曜日はMEセンターというように、1人が複数の業務をこなすことで、シフト調整がしやすく、均等に休める体制を築いています。このような体制のおかげで、診療報酬において、特定集中治療管理料が新設された際は、臨床工学技士の24時間当直体制を早くに築き上げることができ、大きな貢献となりました。

一日の業務の流れ

出勤時間:8:00~16:50(早出)、8:30~17:20(定時)、11:30~20:20(遅出)、当直17:20~8:30(当直明けは12:30までの勤務ですが、半日有休を申請すれば8:30に帰宅することもできます)

【透析センター】
8:00 プライミング(早出出勤)
8:30 定時出勤
   透析センター朝礼(臨床工学課の朝礼も兼ねています)
8:45 患者さん入室、順次穿刺開始
11:30 遅出出勤
11:00~14:00 交代でお昼休憩1時間
14:30 2クール目穿刺開始
16:50 早出退勤
17:20 定時退勤
20:20 遅出退勤

透析センターは「月・水・金」が2クール、血管造影室では心臓カテーテル検査・治療が毎日あり、カテーテルアブレーションは「月・木・金」、手術センターでの人工心肺業務は「月・木」、ステントグラフトは水曜日です。スタッフの月間残業は平均15時間です。

入職者研修

当院ではジェネラリストを育成します。3年目で当直に入れるような教育をします。
1年目は、透析センターでプライミング、穿刺などをプリセプター制度で覚えて行き、1年で透析業務をマスターします。
2年目は、いよいよジェネラリストとして業務を覚えてもらいます。透析に加え、人工呼吸器の操作や血管造影室での業務を当直の出来るレベルまで、身につけます。緊急の人工心肺業務ではオンコール者2人が到着するまでのリードタイムで人工心肺装置の準備をします。

資格・告示研修について

各種認定士は、今のところ病院として評価の対象になっていないので、取得に際して費用のサポートはありません。しかしこれまで自己研鑽として、各自でさまざまな資格を取得してくれていますし、先ず、評価の対象にしていきたいと考えています。
また、施設要件になる体外循環技術認定士は、講習受講料などの全額援助は行っています。
さらに医師の働き方改革、タスク・シフト/シェアに伴い、「告示研修」の費用は出ます。

告示研修を受けない場合、デメリットはありますか?

血液透析の業務のうち、これまで明確になっていなかった、表在化された動脈もしくは表在静脈への穿刺、抜針および止血ができなくなります。
しかし、告示研修を修了することで、従来の業務範囲であった「シャントへの接続または除去」から発展した業務ができるようになります。
さらに、以下の業務を行うことができます。

  1. 手術室または集中治療室で生命維持管理装置を用いて行う治療における静脈路への輸液ポンプまたはシリンジポンプの接続、薬剤を投与するための当該輸液ポンプまたはシリンジポンプの操作ならびに当該薬剤の投与が終了した後の抜針および止血
  2. 生命維持管理装置を用いて行う心臓または血管に係るカテーテル治療における身体に電気的刺激を付加するための装置の操作
  3. 手術室で生命維持管理装置を用いて行う鏡視下手術における体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラの保持および手術野に対する視野を確保するための当該内視鏡用ビデオカメラの操作

告示研修を受けないと、医師の働き方改革、タスク・シフト/シェアと言われる業務が全く対応できない臨床工学技士になりますので、私見ですが、将来「S級臨床工学技士」、「A級臨床工学技士」などと区別して給与格差を設ける病院も出てくるのではないでしょうか。

淀川キリスト教病院の臨床工学技士になる

当院は、学生さんが多く見学に来てくれますが、学生さんから、『私をどんなCEに育ててくれますか?』 という質問をよくいただきます。
「3年で当院外に出ても恥ずかしくない臨床工学技士のジェネラリストとして、一通り経験をさせてあげることができます。3年で広い範囲にわたる仕事に携わってもらい、そして深くやりたい業務が見えてくるところまでは、育っていける環境です」と説明しています。
3年とは言わず、長く私達と一緒に勤めて、希望する分野のプロフェッショナルになって欲しいですけどね。
臨床工学課担当部長の莇 隆 医師(心臓血管外科部長と院長補佐も兼務)にも、『スーパースターは求めていない。知識・技術面でも精神面でも、コツコツと仕事をして、ひとつひとつ階段をのぼってくれるような人材が欲しい』と言ってもらっています。

※当記事はフォリスタビズに許可を得て掲載記事を一部改変したものです。