Catheter Ablation

心房細動による
動悸症状・脳梗塞発症リスクを抑える

現在、心房細動治療としてカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)が一般的に広まり標準治療として行われています。
アブレーション治療は不整脈の原因となる心筋に熱を加え、異常な電気信号の発生を止める治療です。
当院では、一般的なカテーテルアブレーションとともに、ウルフ-オオツカ法(胸腔鏡下肺静脈隔離、左心耳切除)を行っており、
より患者さんお一人お一人に合わせた、心房細動による動悸症状・脳梗塞発症リスクを抑えた治療が可能になっています。

心房細動とは…?

心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしている臓器です。上半分の部屋を「心房」といいます。通常、心房は1分間に60~100回、規則正しいリズムで収縮しています。しかし、心房が不規則な細かい収縮(細動)に落ちいることがあり、これを心房細動といいます。

心房細動となると、左心耳といわれる袋状の箇所に血栓が生じ、脳に飛んでいくと脳梗塞になります。
また動悸や、心臓の調子を崩す心不全といわれる状況になることもあります。

治療法は① 脳梗塞予防薬の内服② 動悸・心不全症状緩和の内服

治療法は ① 脳梗塞予防薬の内服 ② 動悸・心不全症状緩和の内服 加えて、カテーテルアブレーション治療
または ウルフ-オオツカ法による根治的療法

日常の生活への復帰も早く、
患者さんの身体的負担が軽い

  • 低侵襲に治療が
    可能である

    鼠径部や頸部の小さな傷のみで治療ができ、身体の負担が少ない。

  • 治療効果が高い

    治療効果は高く、発作性心房細動の場合80-90%の治療効果が見込める。

  • 生活の質の向上が
    得られる

    症状の改善により、薬の定期的な服用や、頻回の外来通院が必要なくなる。

心房細動カテーテル
アブレーション治療について

主に足の付け根にある太い血管(大腿静脈)から入れ、専用のカテーテルをレントゲンで透視しながら心臓まで進めていきます。
カテーテルの先端は電極になっており、心臓内部の電気的な状態を調べることができます。
異常を生じる原因となっている部位を同定し、カテーテルの先から高周波電流を流すと、
触れているわずかな領域の心臓組織だけが焼灼されます。
1回の焼灼範囲は5mm直径程度の範囲で、通電を重ねることにより治療に必要な範囲の焼灼を行います。

3D mapping systemによる治療画像

3D mapping systemによる治療画像

局所麻酔と静脈麻酔を併用することで、非意識下にカテーテルを心臓内に配置し、治療を行います。
治療に要する時間が3時間程度です。

穿刺部位について

穿刺部位について

● 大腿静脈より治療します。
(症例によっては内頚静脈を追加することもあり)

● 大腿動脈から観血的に血圧を測定します。

脳梗塞予防効果に優れた治療である

  • 低侵襲の
    心臓手術である

    開胸手術と異なり、傷口が小さく、身体の負担が少ない。

  • 脳梗塞予防効果に
    優れる

    左心耳切除を行っているため脳梗塞予防効果に優れる。

  • 生活の質の向上が
    得られる

    症状の改善により、薬の定期的な服用や、頻回の外来通院が必要なくなる。

ウルフ-オオツカ法について

全身麻酔下にて胸腔鏡を使い、外科的にアブレーションと左心耳切除を行う方法です。
胸骨や肋骨の切開が不要、また人工心肺が不要であるため比較的低侵襲です。
入院期間は1週間程度で、もし心房細動が停止しなかった場合においても、
左心耳切除を行うため脳梗塞リスクが減少し、抗凝固薬から解放されることが特徴です。

血栓が生じやすい左心耳を切除するため脳梗塞予防効果が得られます。

血栓が生じやすい左心耳を切除するため脳梗塞予防効果が得られます。

胸骨や肋骨の切開が不要なため、胸部左右に胸腔鏡を挿入する傷が生じるのみです。

胸骨や肋骨の切開が不要なため、
胸部左右に胸腔鏡を挿入する傷が生じるのみです。

カテーテルアブレーション治療と
ウルフ-オオツカ法は
どちらが良い治療でしょうか?

ウルフ-オオツカ法もカテーテルアブレーション治療と同様に心房細動の治療効果を見込めます。
加えて左心耳を切除するため、脳梗塞の予防効果に優れた治療といえます。

多くの場合、心房細動治療の第一選択はカテーテルアブレーション治療と考えますが、
脳梗塞の既往があり脳梗塞再発の予防が重要視される場合、
透析患者さんで周術期の抗凝固療法使用などで出血リスクが高い場合など、
カテーテルアブレーション治療とウルフ-オオツカ法を並列に治療方法を検討したほうが良い場合があります。
循環器内科不整脈外来にて適切な治療をご提案いたします。

入院治療前の流れについて

  • ● 外来で最低1か月以上の抗凝固療法(脳梗塞予防薬)の内服を行います。
  • ● 造影CT(肺静脈、左房)を行い、解剖学的な構造を前もって把握します。
  • ● 経食道心エコーで、左房内に血栓がないことを確認します。
  • ● 治療前日に入院(3泊4日入院)となります。

左房造影CT検査は、左心房の形を確認するために行います。

左房造影CT検査は、左心房の形を確認するために行います。

経食道心エコー図検査は左心耳の血栓の有無を確認するために行います。

経食道心エコー図検査は左心耳の血栓の有無を確認するために行います。

入院から退院までの流れ

入院から退院までは一般的に3泊4日です。

入院1日目

入院

午後入院となります。
心臓内血栓評価のため経食道心エコー図検査を行う事もあります。

入院2日目

治療日

午前症例は9時から、午後症例はおおよそ2時ごろより行います。
手術時間は不整脈の種類によって異なりますが、2-3時間程度です。
食道障害を避けるため、治療開始前に鼻より温度センサーを挿入します。
鎮痛、鎮静に関しては不整脈の種類によって異なりますが、
一般的な心房細動では鎮静剤を使い寝ている様な状態で行います。
術翌日まで安静にしていただきますが6時間程度で穿刺部の足を動かせるようになります。

入院3日目

術後観察

歩行可能となり合併症がない事を確認します。

入院4日目

退院

10時ごろに退院となります。

使用機材について

3Dマッピングシステム(CARTO)

3Dマッピングシステム(CARTO)

3Dマッピングシステム(RHYTHMIA)

3Dマッピングシステム(RHYTHMIA)

アンギオ室

アンギオ室

70歳未満の場合

横にスクロールしてご確認ください

区分 通常の健康保険 高額療養費現物給付制度利用の場合
年収約1,160万円~の方
健保/標準報酬月額83万円以上
国保/年間所得(※)901万円超
約60~80万円
(3割負担)
約28万円
年収約770~1,160万円の方
健保/標準報酬月額53万円~79万円
国保/年間所得600万円~901万円
約60~80万円
(3割負担)
約20万円
年収約370~770万円の方
健保/標準報酬月額28万円~50万円
国保/年間所得210万円~600万円
約60~80万円
(3割負担)
約10万円
年収~約370万円の方
健保/標準報酬月額26万円以下
国保/年間所得210万円以下
約60~80万円
(3割負担)
57,600円
住民税非課税の方 約60~80万円
(3割負担)
35,400円

70歳以上の場合

横にスクロールしてご確認ください

区分 通常の健康保険 高額療養費現物給付制度利用の場合
現役Ⅲ 課税所得690万円以上の方 約28万円
(3割負担)
約28万円
現役Ⅱ 課税所得380万円以上の方 約28万円
(3割負担)
約20万円
現役Ⅰ 課税所得145万円以上の方 約28万円
(3割負担)
約10万円
一般 課税所得145万円未満の方 57,600円 -
区分Ⅱ 住民税非課税の方 57,600円
(2割・1割負担)
24,600円
区分Ⅰ 住民税非課税の方/所得が一定以下の方 57,600円
(2割・1割負担)
15,000円

アブレーションは健康保険の適応であり、治療の内容や用いる機器、入院期間によっても異なりますが3割負担です。
入院治療費は、高額医療申請の手続きをしていただくと約10万円の自己負担です。