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人工関節センター

膝関節痛にお悩みの方へ

3つ以上該当する方はご相談を!
□ 立ち上がり、歩き始めに痛い □ 階段の上り下りの時に痛い
□ 30分以上歩くと膝が痛くなる □ 正座がしづらい
□ 和式トイレがつらい □ 膝が腫れる
□ 膝がガクッとなる、ギシギシ音がする
□ 膝のけがによる通院歴がある

★3つ以上該当する方は…ぜひ早めのご相談を!
関節の状態ご年齢進行段階に応じてさまざまな治療方法がありますので、
年だから仕方ない」、「我慢しよう!」と諦めないでください!

膝関節のしくみ

膝関節は人体で一番大きな関節です。大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)と膝蓋骨(しつがいこつ)の3つの骨から成り立っています。膝の曲げ伸ばし動作では、大腿骨は脛骨の関節面上で回転運動と横滑り運動をしており、また膝蓋骨は大腿骨の関節面上を滑りながら、膝周囲の筋肉バランスを調整しています。歩行動作では体重の約3倍の負荷が、また椅子からの立ち上がり動作、階段の登り降り動作においては体重の約4~6倍の負荷が膝関節にかかります。

膝関節痛について

膝痛を訴える患者さんは年々増加傾向であり全国に約1,000万人程度であると言われています。
原因として、半月板靭帯損傷などの他に、次に挙げる疾患等があります。

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

健康で正常な膝関節では、膝の曲げ伸ばしは半月板や軟骨がクッションとなっており、通常痛みを生じません。しかし、加齢などによりそれらのクッションがすり減ったり傷ついたりすると、大腿骨と脛骨がこすれあって、痛みや変形をきたし、運動障害をまねく変形性関節症となります。国内での患者数は約800万人(男性30%、女性70%)と推計されます。どの年齢層においても女性が多く、男女とも50歳前後から増加し、70歳代後半がピークとなります。

進行すると、膝の曲げ伸ばしができなくなり、常に痛みが出て歩行困難、遂には寝たきり状態に陥ります。画像検査を行うことで、現在の膝の状態がわかります。早めの対応で、痛みを解消し、自立した生活を取り戻しましょう。

大腿骨顆部壊死(だいたいこつかぶえし)

一般的に60歳代の中高年女性に多く見られ、体重負荷のかかる大腿骨の内側くるぶしに骨壊死が生じます。発症時には激痛を伴い、しばらく安静時や夜間睡眠時に痛み症状を認めます。MRI検査が極めて有用で早期診断が可能で、進行すると前述の変形性膝関節症を発症する場合があります

リウマチ性膝関節症

自己免疫の破綻が影響し、膝関節内で滑膜が異常に増殖することで、強い炎症を起こします。それにより関節の腫れや痛みが生じ、最終的には関節軟骨や骨の破壊が進行し、活動レベルを著しく低下させてしまいます。国内での有病患者数は約30万人(男性20%、女性80%)と推計されます。どの年齢層においても女性が多く、男女とも40歳前後から増加し、70歳代前半がピークとなります。

膝関節疾患の治療方針

関節疾患の場合でも、程度が軽い場合は、投薬や注射、理学療法といった保存的加療で症状を和らげる事ができます。しかし、痛みが継続する場合や、極端な変形で歩行が困難な場合、また関節リウマチが進行した場合には、人工膝関節置換術などの手術治療が必要になります。

1.保存加療(かかりつけ医の先生と連携を行っています)

  • ・体重の減量(ダイエット)
  • ・運動療法(ストレッチ・可動域訓練・筋力訓練・水中運動)
  • ・薬物療法(飲み薬/関節内注射)
  • ・装具療法(足底板・サポーター・杖)
  • ・温熱療法(電気・超音波器具)

2.膝関節鏡視下手術(ひざかんせつきょうしかしゅじゅつ)

初期〜中等度の方が対象となり、関節鏡によって関節内の洗浄と毛羽立った軟骨や損傷した半月板を部分切除することで痛みの軽減を図ります。利点は傷口が小さく(約1cmが3箇所)、短期入院で手術可能なことですが、症状の軽減効果が長期的に継続しないという欠点があり、近年は減少傾向です。

3.高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ) =HTO(High Tibia Osteotomy)

脛骨の関節周囲で骨切りをして、楔(くさび)状に広げて固定します。これにより下肢のO脚変形を修正し、人工関節に置換せず関節を温存する方法です。活発にスポーツを継続したい方や50~60歳代の骨質の良い患者さんが適応となります。入院は4~5週間程度で、骨切りした部分が安定し固定されるまで、数ヶ月ほどかかる場合があります。

4.単顆置換型人工膝関節置換術(たんかちかんがたじんこうひざかんせつちかんじゅつ)

人工膝関節置換術には関節の損傷範囲に応じて、膝関節を全体的に置換する方法(人工膝関節全置換術)と、関節の内側のみを置換する方法(人工膝関節単顆置換術)に大別されます。 当院では内側に限局した変形性膝関節症大腿骨顆部壊死などに適応しており、傷んだその部分のみが人工関節に置換されるので、それ以外の靭帯成分は温存させることができます。

5.人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)

膝関節を全体的に人工関節に置換する手術です。本邦では4.単顆置換型人工膝関節置換術と5.人工膝関節置換術の両者あわせて年間約10万件もの手術がなされております。最終的な治療であり、殆どの場合、痛みやこわばり、変形が解消します。

またスムースな歩行や多くの日常的な動作の獲得が期待でき、腰や反対側の足への負担が減少します。手術後のリハビリテーションがとても大切で、症例によっては、左図のような可動域の獲得が可能です。

しかし、術後に人工関節の骨からのゆるみ症例や人工関節周辺での骨折症例などの報告も存在することは確かですので、これらも含めて当センターで長きに渡り術後ケアをしていきます。

人工膝関節置換術の流れ

STEP1外来(手術前)

外来診察で手術前検査と手術説明を行います。
リハビリテーション科、麻酔科などの受診も併せて行います。

STEP2入院

基本的には手術日の1〜2日前に入院します。

STEP3手術

手術室に入ると麻酔が始まり、上記の手順で手術を行います。

STEP4 リハビリテーション

理学・作業療法士が最適な運動のお手伝いをします。

STEP5退院

安定した杖歩行、階段昇降、トイレや入浴などの自立が退院の目安です。必要に応じて転院でのリハビリテーションプランも提案します。

膝関節治療のQ&A

周術期の疼痛対策はどうしていますか?

まず術前から投薬を開始します。また術後には、オリジナル鎮痛薬メニューに加えて神経ブロック(痛み神経のまわりに麻酔薬を注入)やカクテル注射(手術部周囲へ鎮痛薬局所注射)を実施しています。術後疼痛を徹底的にコントロールすることで患者さんの満足度を上げるだけでなく、リハビリ移行時期が早まり、自立運動や職場復帰が早期に達成されるなどメリットは非常に大きいと考えています。

術中ナビゲーションなどは使用しますか?

はい、使用します。 まず術前計画でCTデータを用いた3次元計画を行っており、患者さんそれぞれの骨形状に合った人工関節を選択します。その計画をナビゲーション機能と併用することで正確かつ再現性・安全性の高い人工関節の設置が可能となりました。

費用はどれくらいかかりますか?

例1. 70歳未満(3割負担/区分ウ:年収約370~770万円)
手続きをして限度額適用認定証・区分ウを持っている場合、1か月あたりの入院費用は食事代を含めて約13万円

例2. 70歳未満(3割負担/区分エ:年収約370万以下)
手続きをして限度額適用認定証・区分エを持っている場合、
1か月あたりの入院費用は食事代を含めて約9万円

例3. 72歳(高齢受給者証1割/非課税世帯/区分Ⅱ)
手続きをして限度額適用認定証・区分Ⅱをもっている場合、1カ月あたりの入院費用は食事代を含めて約4万5千円

※費用は一例です。この限りではありません。

術後の入院期間はどのくらいですか?

症状により異なりますが、術後およそ2~3週間です。

退院後はどの程度動けますか?

炎症がひどくならない様、手術後1ヶ月は積極的な外出は控えてください。

術後の回復には、どのくらい期間がかかりますか?

手術後  1ヶ月・・・デスクワーク・軽作業レベルの仕事復帰、自動車の運転
手術後1〜2ヶ月・・・杖なし歩行・自転車の運転
手術後  3ヶ月・・・旅行・簡単なスポーツ
※あくまで目安です。