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形成外科


概要

形成外科では先天性、後天性に生じたあらゆる体表の醜形に対して、治療を行っています。当院では、特に唇裂口蓋裂を中心とする顎顔面先天異常の治療、熱傷や顔面骨骨折などの外傷の手術、乳房切除後の変形に対する再建術、皮膚悪性腫瘍の治療に力を入れています。

施設認定

  • ・日本形成外科学会認定施設
  • ・エキスパンダー実施施設
  • ・インプラント実施施設

スタッフ紹介

大守 誠

役職 部長
学会専門医・認定医
日本形成外科学会形成外科専門医
日本頭蓋顎顔面外科学会専門医
皮膚腫瘍外科指導専門医
神戸大学医学部非常勤講師
神戸大学医学部臨床講師

平山 泰樹

役職 医員
学会専門医・認定医  

林 知子

役職 医員
学会専門医・認定医  

先天異常の治療

口唇口蓋裂

1.口唇口蓋裂とは?

先天的にくちびるや顎の癒合がうまくいかずに裂隙を生じている状態です。癒合不全の程度によって、口唇裂、口蓋裂単独のものから、くちびるから口の中まで全て割れているようなケースまであります。

2.治療の時期について

生後3ヶ月でくちびるを閉じる手術、1歳~1歳6ヶ月くらいで口の中(口蓋)を閉じる手術を行います。言葉が出てくるのを待って4歳くらいから6歳くらいまでの間に集中的に言語訓練を行います。乳歯から永久歯に生え変わる時期(7~10歳)で顎の割れているところに骨移植を行って、歯並びを良くするための準備を行います。思春期以降に、最終的な鼻の形成術を行い治療はほぼ終了となります。

口唇口蓋裂の治療は見た目も重要ですが、おしゃべりをするのに必要な口蓋の機能再建も重要となってきます。治療は形成外科、矯正歯科、言語治療の3科によるチーム医療が必要です。矯正歯科治療に関しては連携している医療機関と協力して行っております。

口唇口蓋裂

表:当科における口唇口蓋裂治療の流れ

3.代表的症例

片側口唇裂に対する口唇形成術

適切に組織をあつかえば、傷跡はほとんど目立ちません。

当科ではほとんどの症例で2泊3日の短期入院で手術を行っています。表面は医療用のボンドで接着しますので抜糸はありません。


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両側口唇裂に対する口唇形成術

当科では原則として一回の手術で裂の閉鎖を行います。裂の幅が非常に広い特殊な症例では口唇癒合術(lip adhesion)を行ってから、口唇形成術を行います。


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口蓋形成術

標準的術式として1歳6か月頃に口蓋の裂の閉鎖を行います。粘骨膜弁法(two-flap法)で閉鎖しますが、裂幅の狭い場合や軟口蓋のみの裂の場合は口蓋をジグザグに縫い合わせるintervelor veloplasty法を用いることもあります。通常、術後1週間くらいで退院となります。


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顎裂に対する骨移植術

腸骨(腰の骨)または脛骨(足の骨)から骨を採取して顎裂に移植します。術後5-7日で退院となります。術後は矯正歯科治療が上下の調和のとれた咬合が完成するまで続きます。


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先天性耳介変形

先天性の耳介変形には、埋没耳、小耳症などがあります。軽度なものはテープや簡単な矯正器具を用いるだけで治せることがあります。程度の強い変形では、手術が必要です。

埋没耳など軽度な耳介変形の治療

生後すぐであれば、埋没耳などの軽度の変形では、軟骨の形を整えてあげるだけで変形が矯正されることがあります。


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小耳症の治療

肋軟骨を用いて、耳介を形成します。低年齢では材料となる肋軟骨の量が不足し、整容的に満足のいく耳介の形成が難しいので、12歳くらいまで待って、十分に体が成長してから手術を計画します。手術は通常は2回に分けて行います。


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まぶた

睫毛内反症、眼瞼内反症

生まれつき、まつ毛が内側を向いて生えているために角膜を刺激して痛みを生じたり(睫毛内反症)、まぶたそのものが内側を向いていて同様の症状を起こすことがあります。(眼瞼内反症)当科ではホッツ法という方法を用いて治療を行います。

先天性眼瞼下垂症

まぶたを持ち上げる筋肉の働きが生まれつき弱く、まぶたが下がっている状態です。多くは片側性ですが、両側性のこともあります。額の筋肉の力を用いてまぶたを持ち上げる手術を行います。(吊り上げ手術)

先天性多指症・合指症

生まれつき手足の指が通常より多い場合を多指症といいます。手の場合は、母指側に多く、足の場合は小趾側に多く認めます。前者の場合は、通常生後6ヵ月から1歳の間で手術を行います。後者の場合は、生後10ヵ月から1歳前後に手術を行います。(母指多指:症例画像

また生まれつき指が癒着している場合を合指症といい、主に足趾に多く認めます。癒着のタイプにより、皮膚の移植を必要とする場合と必要としない場合があります。多指症と合指症の両者を合併している場合は、多合指()症といいます。手術の時期は前述と同様です。(多合趾:症例画像

 

臍ヘルニア

臍部に著明な突出を残す臍突出症(でべそ)に対して、当科では逆U字切開法にて修正を行っています。成人であれば局所麻酔で修正が可能です。

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その他の治療

顎変形症

顎変形症とは咬合の異常を伴う顔面形態異常です。形態異常の種類として、反対咬合(下顎前突:症例画像)、正貌での顔軸のゆがみ(左右非対称:症例画像)、上顎前突、開咬があります。成因としては口唇口蓋裂や第一第二鰓弓症候群などの先天性疾患に伴うもののほかに、はっきりと原因のわからないものがあります。顔貌の異常と咬合の異常を治療するために、上顎と下顎の骨を切って正しい位置に移動し、固定する手術を行います。
 

※手術前後に矯正歯科医による専門的な治療が必要になります。具体的には、骨を移動した後にきちんとしたかみ合わせが出来るように術前矯正を行い、術後に微調整と咬合の安定を図るための矯正治療が必要となります。

 

瘢痕ケロイド

交通外傷、やけど、手術縫合創のきずあとによる醜形に対して、瘢痕修正術を行っております。術後には圧迫やステロイドの局所注射などの後療法が必要になることがあります。

あざ・血管腫の治療

静脈奇形(単純性血管腫)、乳児(いちご状)血管腫、毛細血管拡張症などの赤色系の疾患に対して色素レーザーを使用して治療を行っています。急速に増大する乳児血管腫(いちご状血管腫)に対しては、内服効果が認められるβブロッカー内服治療を行っています。また異所性蒙古斑、太田母斑、外傷性色素沈着、扁平母斑、老人性色素斑などの青色、茶色系の疾患に対してはQスイッチルビーレーザーを使用して治療します。

後天性眼瞼下垂症

後天性眼瞼下垂症とは、コンタクトレンズの使用やまぶたをこするなどの物理的な刺激により挙筋腱膜が瞼板からはずれ、開瞼しづらくなっている状態です。外見的には、重たい目つきになり、まぶたの上方が陥凹するとともに、眉毛が強く挙上し、前額部に深い皺がよります。また付随症状として、 しばしば頑固な肩こり、頭痛に悩まされることがあります。

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治療上重要なポイント
上眼瞼を元通りの開瞼しやすい状態にすることと、もともと二重瞼の方や希望する方には、整容的にも受容できる二重瞼にすることです。特に後者の整容的な部分については、症例を多く扱っている施設でなければ難しい部分といえます。治療としては、多くの場合、腱膜固定術により症状の劇的な改善が可能です。手術は部分麻酔で、片方のみでも両方同時でもどちらでも可能です。通常は通院手術で行ないますが、希望がある場合は短期間入院しての手術も可能です。

下肢静脈瘤

心臓から送り出された血液は足の先端に達したのちに重力に逆らって心臓に戻っていきます。静脈には一方弁が備わっていて血液が逆流しないようになっていますが、この弁機能が悪くなると静脈血の逆流が生じて、血液がうっ滞し、下肢の静脈が怒張して瘤を形成します。症状としては、見た目の問題に加えて足のむくみ、だるさが生じることがあります。未治療のままでいると、症状が進行して、うっ滞性の皮膚潰瘍を生じることもあります。
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※治療は、まずはCTと超音波で静脈の逆流の評価を行ったうえで、拡張した血管を糸で縛ったり(高位結紮術)、瘤化した静脈を抜去します(静脈抜去術)。通常、短期間の入院が必要です。

 

乳がん切除後の変形

乳がん切除後の変形は、たとえ軽微なものであったとしても、患者さまの心理状態に深刻な影響を及ぼすことが少なくありません。当院では乳腺外科医と形成外科医が密に連携し、がんの切除から乳房再建までを一連の治療としてとらえ、診療にあたっております。

乳房の再建方法

①自家組織による再建症例画像

②シリコンインプラントによる再建症例画像

 

乳房の再建方法は、大きく分けて上記の2つがあります。当院では自家組織を用いる方法として背中の筋肉と皮膚を使う方法(広背筋皮弁)、おなかの皮膚を用いる方法(腹直筋穿通枝皮弁)を採用しています。患者さまの体格、希望にあわせて適したほうを選びます。

シリコンインプラントを用いる方法では2回にわけて手術を行います。まずはエキスパンダーという皮膚拡張器を乳がん切除時に同時に留置しておき、数か月かけて胸部の皮膚を拡張させたのちに、シリコンインプラントに入れ替える手術を行います。乳輪・乳頭が切除される場合は、乳房のふくらみを作成した後に乳輪と乳頭の再建を行います。通常は2泊3日の入院手術で行っています。
 

※どの術式が最も適しているかについては、体格、切除術式により異なりますので診察をして決定します。

 

 

  • ・以前に切除術を受けた方の2次再建も行っております。

顔面神経麻痺後遺症

Bell麻痺やハント症候群による顔面神経麻痺はしばしば起こり得る病気です。発症早期では耳鼻咽喉科での点滴治療や、麻酔科でのブロック注射が行われます。顔面神経麻痺はかなりの程度、これらの治療により回復しますが、回復過程において神経支配のミスマッチが起きて病的共同運動を生じることがままあります。病的共同運動とは、具体的にはご飯を食べたときに麻痺側の眼が閉じてしまうような事象です。当科ではこの病的共同運動に対してボツリヌス毒素(ボトックス)を用いた治療を行っています。ボトックス治療と併せて、神経移植を用いた神経再建を行うこともあります。

※ボトックス治療は通院治療で十分ですが、神経移植は短期間の入院が必要です。