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病気・治療・検査


先天異常の治療

口唇口蓋裂

1.口唇口蓋裂とは?

先天的にくちびるや顎の癒合がうまくいかずに裂隙を生じている状態です。癒合不全の程度によって、口唇裂、口蓋裂単独のものから、くちびるから口の中まで全て割れているようなケースまであります。

2.治療の時期について

生後3か月でくちびるを閉じる手術、1歳~1歳2か月で口の中(口蓋)を閉じる手術を行います。言葉が出てくるのを待って、小学校入学までに正常な言語を獲得することを目標に、4歳~6歳の間に集中的に言語訓練を行います。乳歯から永久歯に生え変わる時期(7歳~10歳)に、顎の割れているところに骨移植を行って、歯並びをよくするための準備を行います。治療の仕上げとして、思春期以降に、残存する変形に対してあごの手術(顎矯正手術)や鼻形成術を行って、治療終了となります。

口唇口蓋裂の治療は見た目も重要ですが、おしゃべりをするのに必要な口蓋の機能再建も重要です。治療は形成外科、矯正歯科、言語治療の3科によるチーム医療を行い、質の高い治療を提供しております。矯正歯科は院外の口唇口蓋裂を専門とする歯科医師と連携をとり、治療を行っています。

口唇口蓋裂

表:当科における口唇口蓋裂治療の流れ

3.代表的症例

片側口唇裂に対する口唇形成術

適切に組織をあつかえば、傷跡はほとんど目立ちません。

当科では口唇裂の手術を2泊3日の短期入院で行っています。手術が終了して、3時間後からミルクを飲むことができます。術翌日に経過が良好であることを確認して、退院となります。表面は医療用のボンドでくっつけますので、抜糸はありません。


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両側口唇裂に対する口唇形成術

当科では原則として一回の手術で裂の閉鎖を行います。裂の幅が非常に広い特殊な症例では口唇癒合術(lip adhesion)を行ってから、口唇形成術を行います。


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口蓋形成術

1才~1才2か月で口蓋の裂の閉鎖を行います。粘骨膜弁法(two-flap法)で閉鎖しますが、裂幅の狭い場合や、軟口蓋のみの裂の場合は口蓋をジグザグに縫い合わせるintervelar veloplasty法を用いることもあります。通常、術後1週間くらいで退院となります。


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顎裂に対する骨移植術

腸骨(腰の骨)または脛骨(足の骨)から骨を採取して、顎裂に移植します。術後3-5日で退院となります。術後は歯科矯正治療が上下の調和のとれた咬合が完成するまで続きます。


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成人時期まで残った変形に対する治療について
①反対咬合に対する顎矯正手術(two jaw surgery)
口蓋裂は幼少時に口蓋に対する手術を行うので、上あごの発育が悪く、反対咬合(受け口)になりやすくなります。上あごが引っ込んだ顔貌は唇裂特有の顔貌として認識されることがあり、顔面全体のプロポーションを整えて、調和のとれた側貌を得る目的で上あごと下あごの骨切り移動を行います。手術により、顔貌は改善し、咬合も安定します。

②鼻変形に対する修正術
口蓋裂の治療の最後の仕上げとして、鼻の形成術を行うことが非常に多くなってきております。以前、最終手術を受けたあとの再修正を希望して受診される患者さんも多くおられます。
唇裂術後の鼻変形は、下記のようなものがあります。
1 鼻孔の左右非対称
2 斜鼻変形
3 鼻背、鼻尖の変形
4 鼻幅の開大
これらの変形に対して、修正術を行います。肋軟骨や耳介軟骨を用いた移植術を併用することがあります。

先天性耳介変形

先天性の耳介変形には、埋没耳、小耳症などがあります。軽度なものはテープや簡単な矯正器具を用いるだけで治せることがあります。程度の強い変形では、手術が必要です。

先天性耳介変形とは?

耳の上部1/3が少し小さいために、変形が生じることがあります。見てもあまりわからないようなわずかな変形もあれば、病名がつくような比較的はっきりとした変形もあります。
名前がつく変形としては、埋没耳変形、折れ耳変形があります。
重度の耳介変形としては小耳症があります。耳を構成する要素のうち耳たぶのみが認められる小耳症(耳垂残存型小耳症)と耳の穴(外耳道)が存存した小耳症(耳甲介残存型小耳症)に分けられます。

埋没耳など軽微な耳介変形の治療

生後すぐであれば、埋没耳などの軽微な変形では、テープなどを用いて、軟骨の形を整えてあげるだけで変形が矯正されることがあります。矯正がうまくいかなかったり、変形が残存する場合は5歳くらいまで待って、簡単な手術で耳の形態を整えてあげると良い結果が得られます。


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小耳症の治療

小耳症では外耳道が閉鎖していることが多いので、通常は難聴を伴います。耳の聞こえは言語の発達に大きく関わっているために、小耳症の治療においてはまずは聞こえの状態を正確に把握する必要があります。小耳症には片側にだけ小耳症を認める場合と、両側に認める場合がありますが、おおまかに言って、片側症例では言語発達に必要なだけの聴力は保たれていることが多いです。両側の場合は、補聴器などを適切に使用して言語発達に必要な聴力を得る必要があります。ですので、耳鼻科にて聴力の正確な評価がまず必要となります。 形成外科では耳の形を造ることを主に治療を行います。耳は自分の胸の軟骨(肋軟骨)を用いて作成します。ほとんどの症例で、11歳と12歳で2回に分けて手術を行っています。 1回目の手術では肋軟骨を耳の軟骨の形に組み上げて(フレームワーク)、側頭部の皮下ポケットに納めます。1年後の2回目の手術では、耳の後面を側頭部から切り離して聳立(しょうりつ)させます。これで大きな手術は終了となり、あとは必要があるときにメンテナンス(脱毛など)を適宜おこないます。


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まぶたの手術について

睫毛内反症の治療

生まれつき、まつ毛が内側を向いて生えているために、睫毛が角膜を刺激して痛みを生じます。下眼瞼の内側に生じることが多いです。上眼瞼に生じることもあります。当科ではホッツ法という方法を用いて治療を行います。下眼瞼の睫毛の1ミリほど下を切開して、少し皮膚を切除して、睫毛が外を向くように皮膚を縫合します。
上眼瞼の睫毛内反症に対しては、切開法による重瞼作成術で治療を行います。

先天性眼瞼下垂症の治療

まぶたを持ち上げる筋肉の働きが生まれつき弱く、まぶたが下がっている状態です。多くは片側性ですが、両側性のこともあります。額の筋肉の力を用いてまぶたを持ち上げる手術を行います。(吊り上げ手術)

先天性多指症・合指症

生まれつき手足の指が通常より多い場合を多指症といいます。手の場合は、母指側に多く、足の場合は小趾側に多く認めます。前者の場合は、通常生後6ヵ月から1歳の間で手術を行います。後者の場合は、生後10ヵ月から1歳前後に手術を行います。(母指多指:症例画像

また生まれつき指が癒着している場合を合指症といい、主に足趾に多く認めます。癒着のタイプにより、皮膚の移植を必要とする場合と必要としない場合があります。多指症と合指症の両者を合併している場合は、多合指()症といいます。手術の時期は前述と同様です。(多合趾:症例画像

 

臍ヘルニア

臍部に著明な突出を残す臍突出症(でべそ)に対して、整容的改善の目的で手術をおこなっています。成人であれば局所麻酔で手術が可能です。

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その他の治療

顎変形症の治療

顎変形症は咬合の異常を伴う顔面形態異常です。形態異常の種類として、反対咬合(下顎前突:症例画像)、正貌での顔軸のゆがみ(左右非対称:症例画像)、上顎前突、開咬などがあります。成因としては口唇口蓋裂や第一第二鰓弓症候群などの先天性疾患に伴うもののほかに、成長に伴って上顎と下顎の成長の調和不均衡が起きることで生じます。

顔貌と咬合の異常を改善するために、上顎と下顎の骨を切って正しい位置に移動し、固定する手術を行います。
 

※手術前後に矯正歯科医による専門的な治療が必要になります。具体的には、骨を移動した後にきちんとしたかみ合わせがつくれるように術前矯正を行い、術後に微調整と咬合の安定を図るために追加の矯正治療が必要となります。顎変形症の矯正歯科治療では健康保険が適用されるケースがあります。健康保険の適用には施設基準がありますので、こちらから施設基準を満たした歯科医院を紹介して、通院していただきます。

 

瘢痕ケロイド

交通外傷、やけど、手術縫合創のきずあとによる醜形に対して、瘢痕修正術を行っております。術後には圧迫やステロイドの局所注射などの後療法が必要になることがあります。

あざ・血管腫の治療

静脈奇形(単純性血管腫)、乳児(いちご状)血管腫、毛細血管拡張症などの赤色系の疾患に対して色素レーザーを使用して治療を行っています。急速に増大する乳児血管腫(いちご状血管腫)に対しては、内服効果が認められるβブロッカー内服治療を行っています。また異所性蒙古斑、太田母斑、扁平母斑などの青色、茶色系のあざに対してはQスイッチルビーレーザーを使用して治療します。

後天性眼瞼下垂症

眼瞼下垂とは、まぶたが開きにくくなり、みえづらさが生じる状態です。眼瞼下垂には先天性(生まれつき眼を開ける力が弱い)と後天性(生まれたときからではない)のものがあります。後天性眼瞼下垂の原因としては、腱膜性、外傷によるもの、他の病気(重症筋無力症など)に伴うものなどがあります。
この中で最も多いのは腱膜性眼瞼下垂であり、加齢やコンタクトレンズの装着、よく目をこする習慣などが原因となります。挙筋腱膜という薄い膜がのびて緩み、まぶたを開ける力が伝わりにくい状態となることで生じます。外見的には、眠たそうな重たい目つきになり、眉毛が強く上がり、おでこに深いしわがよります。またみえづらさに伴い、しばしば頑固な肩こりや頭痛に悩まされることがあります。

腱膜性眼瞼下垂の症状

この腱膜性眼瞼下垂の症状に対しては、伸び切って緩んでしまった挙筋腱膜を正しい位置に留めなおす手術(眼瞼下垂症手術:挙筋前転術)を行います。余剰皮膚がある場合には、同時に皮膚も切除します。

腱膜が緩んで瞼を開ける力が伝わりにくい状態

伸びきった挙筋腱膜を切り離して引き出します

眼を開ける力が伝わりやすいように、挙筋腱膜を瞼板に固定します

治療上重要なポイント
上まぶたを元通りの開瞼しやすい状態にすることはもちろんのこと、もともと二重まぶたである方や希望される方に、整容的にも受容できる二重まぶたに仕上げることです。特に後者の整容的な部分については、症例を多く扱っている施設でなければ難しい部分といえます。手術はまぶたの部分のみの部分麻酔で行い、片方のみでも両方同時でもどちらでも可能です。通常は日帰り手術で行ないますが、希望がある場合には短期間の入院も可能です。

その他、先天性眼瞼下垂あるいは後天的に眼をあける眼瞼挙筋の力が弱い方などには、筋膜や人工物を用いたつり上げ術による治療を行っています。
それぞれの症状と機能の状態に応じて、患者様に適した術式を選択しています。

下肢静脈瘤の治療

心臓から送り出された血液は、足の先端に達したのちに重力に逆らって心臓に戻っていきます。静脈には一方向弁が備わっていて血液が逆流しないようになっていますが、この弁機能が悪くなると静脈血の逆流が生じて、血液がうっ滞し、下肢の静脈が怒張して瘤を形成します。症状としては、見た目の問題に加えて足のむくみ、だるさが生じることがあります。未治療で放置すると、症状が進行して、皮膚に潰瘍を生じることがあります。
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※治療は、まずはCTと超音波で静脈の逆流の評価を行ったうえで、拡張した血管を糸で縛ったり(高位結紮術)、瘤化した静脈を抜去します(静脈抜去術)。通常、短期間の入院が必要です。

 

 

乳がん切除後の変形の治療

乳がん切除後の変形は、たとえ軽微なものであったとしても、患者さまの心理状態に深刻な影響を及ぼすことが少なくありません。当院では乳腺外科医と形成外科医が密に連携し、がんの切除から乳房再建までを一連の治療としてとらえ、診療にあたっております。

乳房の再建方法

①自家組織による再建症例画像

②シリコンインプラントによる再建症例画像

 

乳房の再建方法は、大きく分けて上記の2つがあります。当院では自家組織を用いる方法として背中の筋肉と皮膚を使う方法(広背筋皮弁)、おなかの皮膚を用いる方法(腹直筋穿通枝皮弁)を採用しています。患者さまの体格、希望にあわせて適したほうを選びます。

シリコンインプラントを用いる方法では2回にわけて手術を行います。まずはエキスパンダーという皮膚拡張器を乳がん切除時に同時に留置しておき、数か月かけて胸部の皮膚を拡張させたのちに、シリコンインプラントに入れ替える手術を行います。
乳輪・乳頭が切除される場合は、乳房のふくらみを作成した後に乳輪と乳頭の再建を行います。通常は2泊3日の入院手術で行っています。
 

※どの術式が最も適しているかについては、体格、切除術式により異なりますので診察をして決定します。

 

 

  • ・以前に切除術を受けた方の2次再建も行っております。

顔面神経麻痺の治療

顔面神経麻痺後遺症

顔面の筋肉(表情筋)の運動を支配している顔面神経に、何らかの原因で麻痺を起こると、おでこや眉毛、頬やくちびるなどの動きに障害がでます。麻痺側の眉毛の位置が下がり、上まぶたの皮膚が覆いかぶさることで視野が狭くなります。また、まぶたが閉じにくくなり、眼が乾燥したり炎症を起こすことがあります。麻痺側のくちびるがさがり、ほうれい線(鼻唇溝)が消失したり、食べ物や飲み物がこぼれでることがあります。

顔面神経麻痺の症状

麻痺の原因としては、ベル麻痺 ラムゼイハント症候群、外傷後、腫瘍切除後、うまれつきのものなどがあります。最も頻度が高いベル麻痺やラムゼイハント症候群などの場合には、発症早期には耳鼻咽喉科で薬物療法などの保存的加療を行います。7割程度の方がかなりの程度まで回復しますが、完全には回復しない場合もあります。また、麻痺がある程度回復し動くようになっても、病的共同運動(口を動かす動作に連動してまぶたが閉じてしまったり、まぶたをとじたときに頬や口が勝手にひきつれた動きをする)や顔面のひきつれ(拘縮)の症状が生じることがあります。

病的共同運動、拘縮

治療:
上記のような症状に対し、顔面神経麻痺発症からの経過や患者さんそれぞれの状態に応じて治療を行います。
発症から比較的早期で表情筋の変性や萎縮が強くない新鮮症例では、神経縫合や神経移植術、交叉神経移植、神経移行術を行います。
発症から時間が経過しており筋肉の変性や萎縮を認める陳旧例では、変形を矯正するような静的再建術(眉毛のつり上げやまぶたの矯正、まぶたを閉じやすくする手術、口角のつり上げなど)や筋肉などの組織を移植し‘笑い’の再建を行う動的再建術などを行います。 病的共同運動や拘縮に対しては、症状を軽減するためにボツリヌストキシンの注射、神経や筋肉の切除術などを行います。
経過や麻痺の状態に応じて適切な治療法を選択します。また、これらを組み合わせて治療を行うこともあります。
治療は、外来診療や日帰り手術で可能なものから入院加療が必要になるものまで様々です。

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