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アトピー性皮膚炎の治療について |
アレルギーの治療(お知りになりたい項目のメニューボタンをクリックしてください) |アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係をどう考えるか| |
成人性アトピー性皮膚炎日本皮膚科学会が定義を出していますので紹介いたしますと、 「アトピー性皮膚炎の定義(概念):アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒(かゆみ)のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」となります。 この「アトピー素因」なるものが曲者ですが、実際は「アトピー性皮膚炎」との関連が完全に解明されたわけではありません。 「アトピー素因」とは「アトピー体質」「アレルギー体質」というものと同義に使われており、基本になるのは、IgEという抗体の一種が必要以上に作り出されるために、外からの色々なものに反応しやすいというものです。 この「反応」が重要なのですが、現段階ではっきりしているものとしては「花粉症」「喘息」「じんましん」などのⅠ型アレルギーと呼ばれるものです。 しかし、アトピー性皮膚炎の本質である「皮膚炎」という反応については、まだ生じるのかどうか判明していません。 結局、アトピー性皮膚炎の人の血液を調べてみると、このIgEの高い人が多い、「アトピー素因」を持っている人が多い、というだけで、それが病気にどう影響しているのか不明であり、現実にはアトピー性皮膚炎と診断された人で「アトピー素因」を持っていない場合もあるわけです。 したがって、アトピー性皮膚炎の「アトピー」という言葉に惑わされず、本質は「皮膚のバリア機能が弱って、様々なものに過敏に反応している状態」として、「アトピー素因があれば、じんましんなどのアレルギーを合併している事がある」という風に分けて考える方がいいと思います。 言い換えれば、「アトピー性皮膚炎」の本質は、アレルギーと考えない方がいい、ということです。 では、当科では「アトピー性皮膚炎」をどうとらえているのか? およそ、皮膚に対して「悪い」と考えられるものは全てアトピー性皮膚炎の「増悪因子」としてよいでしょう。 夏の汗、冬の乾燥、季節の変わり目の温度変化、化学物質、大気汚染、ディーゼル粒子、界面活性剤などなど‥ けれども、それらを全て除去することは不可能でしょう。 当科では、玉置前部長の方針で1500人以上の患者さんが入院加療を受けられ、後のアンケートで85%の方が改善が見られたと回答されました(アンケート回収率64.2%のため、最低ラインでは54.7%)。 当科での入院は、特に変わった治療はせず、ただ早寝早起きと食事を病院のものだけにする(腹八分)、昼間は退屈しないようによく動いてもらう、それだけでしたから物理的増悪因子を意識的に除くことはしておりません。 そのことから、増悪因子はあっても、患者さんの状態次第でそれを克服できるということがわかります。 これを、「増悪因子」と患者さんの皮膚の「防御能」の関係で考えれば、「増悪因子」よりも「防御能」が勝ればアトピー性皮膚炎は発症しない、つまり治っていくということになります。 30年前には成人のアトピー性皮膚炎は問題にならない状況にあったわけですから、現代は30年前に比べて「増悪因子」が「防御能」を上回りやすくなっていると考えることができるでしょう。 物質レベルでの影響が体を蝕んでそうさせているのであれば、化学物質や環境ホルモン、界面活性剤などの「物質」を除去しなければなかなか改善するものではないでしょうが、入院中、あるいは外来通院中の患者さんで、ステロイドなどの炎症を抑える薬剤を使用することなく、「物質」もこれといって積極的に除くでもなく、軽快している患者さんを見るにつけ、現代においても「防御能」そのものは個人の努力で「増悪因子」を上回ることができると考えます。 結論として、当科の治療の方針は、この「防御能」の引き上げです。 生活面では、「早寝早起き」「朝は太陽を浴びながらしっかり体を動かす」「食事は3度、できるだけ決まった時間に、しっかり時間をかけてよく噛んで、楽しく食べる」「食事の内容は、肉よりも魚を重視、野菜は生で食べるよりも煮炊きして多めに食べて、腹八分目に抑える」「食事は空腹を感じて食べるように、そのため間食は次の食事に影響しない範囲で」。 心理面では、ストレスのコントロール。 これは、ストレスを失くすという意味ではなく(厳密に言葉を定義していくと「失くす」ということになるのですが)、日常生活のあらゆる面においてご自身が行動していく「目的」「意義」を明確にし、ストレスを乗り越えることで、それを「経験値」にかえて「成長する」「強くなる」という風にとらえることです。 戦争中や戦後の混乱期などでは、「生き延びる」「子供を守る」などの絶対的目標があったわけですから、相当のストレスも乗り越え、経験値に変える事ができたでしょう。 現代は「便利な社会」を維持するために、個人にかかる「責任」が増大しており、ストレスに対抗するだけの行動の「目的」「意義」「夢」などが意識しなければ維持できない状況になっているように見えます。 維持するには「心のエネルギー」がいります。 その「エネルギー」は人同士の関係などから補充されると思うのですが、今は「不安」と「孤独」がそのエネルギーを食いつぶして「心のエネルギー不足」になっているような気がします。 それがストレスを本来の悪者に変化させ、「防御能」を低下させる本質になっていると考えます。 「情報」の混乱については、この「防御能」が相対的に動くため、あれがよかった、これが悪者だった、などの意見が飛び交っているのだと考えれば多くは説明がつくようです。 「情報」の整理、生活面での指導、ストレスのコントロールが当科の成人アトピー性皮膚炎の治療です。 ですから、特別な事はなく、当たり前の事をいかに実践していくかになります。 そこには医者と患者さんの共同作業が必要になります。 最終目標は「アトピー性皮膚炎が発症しないようにする」、つまり「治る」ということです。 |
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